アメリカ大統領選挙は5日(日本時間6日)に投開票が行われ、共和党・トランプ前大統領が、民主党・ハリス副大統領に勝利した。
トランプ氏の勝因はどこにあったのか? アメリカ現代政治外交が専門の前嶋和弘教授に聞いた。
前嶋教授は「激戦州は競っていたため、どちらの勝利もあり得た」としつつ「明暗を分けたのは熱心な共和党・民主党の支持者ではなく、“無党派の共和党寄りの層”が“無党派の民主党寄りの層”よりも投票を行ったことだ」と述べた。
◼︎「バイデンフレーション」の破壊力
その上で前嶋教授は、アメリカの大統領選挙に合わせてCNNが行った出口調査から、「性別」「収入」「人種」などの観点でトランプ氏の勝因を分析した。
「ハリス氏は53%という多くの女性票を獲得したように見えるが(トランプ氏の女性票は45%)、実際のところは“取りきれなかった”と言える。また、所得別にみると、民主党は“所得再分配の党”であるにもかかわらず、所得がやや低い層とその上の中間層を共和党に取られた。一方で高所得者層を民主党が取るという“逆転現象”も起きた。所得がやや低い層までトランプ陣営が取れたのは、インフレはバイデン政権が引き起こしたのだ、という意味の言葉『バイデンフレーション』を頻繁に使用した影響もあるだろう」
◼️“過激な発言”による“分断の細分化”
さらに前嶋教授は「トランプ氏の“過激な発言”による“分断の細分化”がカギを握った」と説明した。
「トランプ氏はよく『女が大統領になっていいのか?』と発言した。一見とんでもない発言だが、その言葉に “マッチョな(力強い)トランプの方がいい”と男性側が反応したようだ。このスタンスが効いたのか(ハリス氏に有利な)黒人層でみると、女性の92%はハリス氏を支持しているが、男性は20%がトランプ氏を支持したという、“ジェンダーギャップ”が起こっている」
「全米黒人ジャーナリスト協会の会合でトランプ氏は『ハリスは突然黒人になったんだ』と発言。その言葉によって(ジャマイカ出身の父とインド出身の母から生まれた)ハリス氏は黒人であるかどうかをめぐり、支持する黒人の男性の中でも少し離れるところがあったのではないか」
「『不法移民はペットを食べている』という発言も失言ではなく練られたものだ。なぜなら合法的に移民してきた人たちからすると『(不法移民と)私たちを一緒にしないで』『ハリス政権で不法移民が増えたらイヤだ』となる。トランプ氏は計算された分断をうまく使って競り勝ったのだ」
(『ABEMAヒルズ』より)
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