“ちょっとやってみよう”で出せちゃうんだから、キラリと光る頭とセンスには脱帽だ。第22回天下一武道会でクリリン(CV:田中真弓)と餃子(CV:江森浩子)が接戦を繰り広げた際、空中からどどん波で一方的に攻撃をしかける餃子に対し、なす術なしのクリリンが思いつきでかめはめ波を試し始めた。なんともかわいい“プチかめはめ波”だったが、当時のファンは“ヨシッ!”と思わずガッツポーズしたものだ。
【映像】ちょっとだけ出た“かめはめ波”(20分55秒ごろ~)
舞空術を使い空中からどどん波を連発する餃子に次第に追い詰められていったクリリン。宙に浮かぶ相手にさすがのクリリンも手も足も出せず、どどん波を避け続けるしかなかった。
なんとか反撃に転じたいクリリンは「僕にもかめはめ波が使えたらな……」とぼやいたが、「ヤムチャさんは使えた……僕にもできるかもしれないぞ」と思い至る。「イチかバチか試してみるしかないな!」と言っているあたり、クリリンは本当にこれまでかめはめ波を撃とうと思ったことすらなかったのだろう。
クリリンは「ちょっと練習してみよっと……」とその場でかめはめ波の構えを見せる。これにはさすがに師匠・亀仙人(CV:宮内幸平)扮するジャッキー・チュンも驚きのあまり「へあ!?」と変な声を出してしまっていた。
しかしそこはさすがに亀仙人の門下生。「かめはめ……波!」と声に出しながら両手を前に押し出すと、“じゅぽん!”という音とともに、なんともかわいらしい“プチかめはめ波”がクリリンの両手から放出されたのだ。ほんの一瞬、時間にしてほんの1秒にも満たない小さなかめはめ波だったが、ぶっつけ本番ながら初めてクリリンがかめはめ波を成功させた瞬間だった。
亀仙人いわく50年は修業を積まないと習得できないはずだった大技「かめはめ波」だが、孫悟空(CV:野沢雅子)は初めて目にした直後に、そして亀仙人のもとで修業したヤムチャ(CV:古谷徹)は3年、クリリンは約4年で教わらずしてかめはめ波を出せるようになったことになる。いずれもとてつもないセンスの持ち主たちと言えるだろう。
クリリンが初めてだしたかめはめ波はとてもかわいらしいものだったが、成長するにつれクリリンはファンの間で「技のデパート」と呼ばれるようになっていく。中でも気円斬はドラゴンボールの技の中でもえげつない必殺技のうちのひとつに数えられる大技だ。まさかクリリンがそんな成長を遂げるなんて、この頃は誰も思っていなかったに違いない。
1986年から1989年に放送されたTVアニメ「ドラゴンボール」は、「週刊少年ジャンプ」(集英社)で1984年から1995年まで約11年間連載され、シリーズ累計発行部数が全世界で2億6000万部を超える鳥山明の同名漫画が原作。以降も「Z」「GT」「改」「超」など数々のアニメシリーズが制作され、20作を超える劇場版も公開されたほか、数多くのゲームシリーズにもなっている大ヒット作だ。
40周年を迎えた2024年、故・鳥山明氏が原作・ストーリー・キャラクターデザインを手掛けた完全新作アニメシリーズ「ドラゴンボールDAIMA」が10月11日より放送中。
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