学生への求人倍率が3年連続上昇となり、「超売り手市場」とも言える状況になっている。企業はAI面接や相性診断など、より良い人材を求めて採用活動を行っているが、やはり優秀な人材の見極めは難しい。
採用に悩む企業がある一方で、「面接をしない」と宣言した会社も。「互いを知るための時間として“面談”を重ねる」というprimeNumber社では、管理職を対象に、候補者の考えを聞くため、社長自らが面談を繰り返すという。
企業はどうやって、優秀な人材を集めればいいのか。『ABEMA Prime』では、人材採用のプロと考えた。
■超売り手市場で優秀な人材をどう確保する?
リクルートワークス研究所の「大卒求人倍率調査」によると、全国の民間企業の求人総数79.7万人に対して、2025年3月卒業予定の大学・大学院生のうち民間企業への就職希望者が45.5万人と、完全なる売り手市場になっている。
IT系ベンチャー企業「クラウドシード」代表の日高守氏は、企業の営業マンから転職した元社員のエピソードを明かす。面接では、前職の経験を生かしたハキハキとした受け答えで、面接態度も申し分なかった。「これは期待大!」と採用するも、いざクライアントとの打ち合わせに行かせると、依頼内容の聞き逃しがしばしば起き、日高氏は困惑したそうだ。
採用については「面接の時点で、書類審査を通過しているので人数が絞られている」としつつ、「受け答えできない人も多く、できるだけでプラスになる。第一印象で採用している」と語る。しかし、実際に新人がクライアントとやりとりすると、「話を聞けておらず、『斜め上の回答が返ってくる』といったクレームが多い」という。
ネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏は、「書類選考はマイナスだ」と指摘する。「中小企業に“東大卒”や“TOEIC高得点”の人材が来る時点で問題がある。大手の楽天やヤフー、サイバーエージェントに行けなかった問題のある人が来る。華やかな履歴書は“地雷”で、むしろマイナスだ」。
日高氏は中小企業の経営者として、「大企業からこぼれた人を見つける」採用活動を行っている。「書類審査は厳しくない。最低限の志望動機や退職理由、業界選びの理由などを確認するだけだが、それすらも記入してこない人が多い」。
■採用のプロが見る事実「身につく前に転職する人は努力が消えている」
人事・採用などのコンサル業を営む「人材研究所」代表の曽和利光氏によると、就職希望者は大きくわけて「考え」と「事実」の2つを話すが、「過去の体験も、面接のやりとりも、事実ベースだ。そこから能力や性格、価値観を類推する」として、選考では事実を重視するよう提案する。
しかし多くの面接では、「意見」を聞く現状がある。「将来の目標や、好きな業務は、何とでも言える。徹底的に事実で評価する」ことの必要性を説く。面接の通りやすさと、入社後の働きにギャップがあるケースも珍しくない。「外への関心が高い“外向性”と、堂々としている“情緒安定性”が、面接では高く評価される」とする。
転職履歴が多い希望者はどうか。「能力は繰り返し行わないと身に付かない。40歳でピカピカなキャリアでも、能力のない人がいる。好奇心が多く、いろいろ仕事をやると飽きて、やめてしまう。身に付く前に転職する人は努力が消えている。努力が積み重なると、キャリアはかけ算になる」。
■求められる言語化能力 ひろゆき氏は「採用した後に変わらないものを見極める」
ひろゆき氏は経験則から、人を見極める上で「イケメンか美人」「実家が太い」、そして「名前が面白い」の3点がポイントになると語る。「採用した後に変わらないものを見極める。話は盛る人がいるため、変えられない要素で採用する」。
ひろゆき氏は「実家の太さ」を挙げた理由として、「コネがある人は無茶しない。犯罪するくらいなら、すねをかじる」。また「イケメンか美人」だと、「営業がうまく行くし、社内の雰囲気も良くなる」として、「変えられない要素を聞き出すと失敗しにくい」とアドバイスした。
優秀な人の判断基準は「その会社や仕事にフィットするか否か」だと、曽和氏は話す。その上で、最近重要な評価軸として「言語能力の高さ」を挙げ、「リモート勤務で、時間や空間が非同期に働くなかで、チームプレーをしなければならない。『すべてを言葉にする能力』が必要だ」と指摘する。「無意識でやっていることを、いかに意識的に言語化できるか。暗黙知でやってきた人は没落しつつある」。
(『ABEMA Prime』より)
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