元祖・日本一速い男がスーパーGT30年史の名シーンに挙げたのは、2022年第5戦鈴鹿。最後尾グリッドから、優勝を果たすというまさに奇跡的なレースを振り返った。
11月8日放送の『ABEMA SUPER GT ダイジェスト』で、「SUPER GT 30周年特別企画 あなたが選ぶ名シーン」と題し、MCの朝日奈央が元祖・日本一速い男 星野一義に現場でインタビュー。星野の選んだ名シーンは、2022年の第5戦 鈴鹿サーキット「SUZUKA GT 450km RACE」の奇跡の“テール・トゥ・ウイン”だ。
GT500で星野が監督を務めるチーム CALSONIC(#12 IMPUL Z)は、最後尾の15番グリッドで決勝をスタート。序盤から着実にオーバーテイクを成功させ、次々に順位を上げ、セーフティカー(SC)が出動した50周目には、早めのピット戦略を取り、さらなるジャンプアップに成功。残り15週の時点で、3位につけるという絶好調な走りを魅せていた。65周目には、まさかのコースアウトでグリーン上を走行するなど緊張が走る瞬間もあった。それでもこの日のCALSONICは一味も二味も違った。
レースはあと3周。劇的な追い上げを見せていた12号車はついに、ヘアピンカーブで首位を走るAstemo(#17 NSX-GT)を射程距離に捉えた。巧みなブレーキングで前方に出て加速する12号車、強い粘りを魅せる17号車。まさに決死のサイドバイサイドが繰り広げられ、軍配は12号車に上がった。圧巻のバトルを制して首位を掴んだ12号車はそのままフィニッシュ。見事、奇跡の大逆転優勝を果たしたのだ。
レースを振り返った星野は「感動してボンネットの上で『ありがとう、ありがとう、チェッカーまでもってくれてありがとう』」とレース終了後にマシンに感謝を伝えたと明かし、感動のあまり「(そのシーンの)写真をプロから買ってTシャツを作ったんだよ」と、思い出を形に残したことも語った。また、Tシャツにプリントされた、ボンネットを手でさすりながらマシンの健闘を称える自身の写真を見せると「僕のお尻きれいだって言われるんだよ」と、レジェンドながら茶目っ気たっぷりなユーモアあふれる一面も披露した。
最後尾スタートから優勝することの難しさについて、ゲスト出演していた現GT300クラスのドライバーズランキング首位のLEON・篠原拓朗も、「国内最高峰のレースで、みんなレベルが高い中ですから。本当にすごいことだと思います」とコメント。最後の最後まで何が起きるかわからない。スーパーGTならではの魅力が詰まった、記録にも記憶にも残る名シーンだった。
(ABEMA『ABEMA SUPER GT ダイジェスト』/(C)GTアソシエイション)