12月2日から、健康保険証の「紙」による新規の発行が停止になる。マイナンバーカードを健康保険証として使う「マイナ保険証」に一本化する方針に沿うもので、今持っている紙の保険証は、最長で1年間使える。また、マイナ保険証を持たない人には12月2日以降に「資格確認書」(最長5年)が自動交付され、保険証と同様の利用が可能だ。
これに「待った」をかけるのが立憲民主党だ。マイナ保険証の一本化を延期する「保険証廃止延期法案」を国会に再提出。マイナ保険証の利用率の低さ、不安やトラブルが解消されるまで、現行の保険証も使用可能にすることを求めている。
デジタル化、DXによる移行期間で、不具合・トラブルは避けて通れない道だが、この廃止延期法案は、どう受け止めるべきか。『ABEMA Prime』では法案提出の中心メンバーである立憲民主党の衆議院議員・中島克仁氏と議論した。
今年9月時点で、マイナンバーカードの普及率は9388万人(全人口の75.2%)で、そのうちマイナ保険証の登録は7627万人。ただし利用率については13.87%に留まっている。また1万2735の医療機関を対象にした調査(全国保険医団体連合会調べ)では、今年5月以降にマイナ保険証に関するトラブル・不具合が起きたと答えた機関は、70.1%だった。主な理由は、名前・住所の間違い、カードリーダーの接続不良・承認エラー、他人の情報に紐づいていた、マイナ保険証の有効期限切れ、などがある。
中島氏は「前提として、マイナ保険証に反対ではない。より慎重に、確実に進めていくべきという考え方。普及第一の考え方によって、逆に信頼を損ねて進捗が滞ることを心配している」と、廃止延期法案の主旨を説明。医師として現場の様子も見ており「利用率が圧倒的に少ない。電子カルテの標準化や、薬剤情報やアレルギー情報など、どの医療機関でもそれが共有できる体制が整えば、医療の適正化、効率化は図れるが、今はそういう状況にない」と、現状を訴えた。
テック関連に詳しいジャーナリストの佐々木俊尚氏は、マイナ保険証への移行を減速させる動きだと疑問を呈した。「テクノロジーは完璧に最初から100%スタートすることはない。少しずつ修正しながら完璧なものに近づけるのが一般的。この20年ぐらい、テックの世界はそういう流れだ。データが揃ってからでないとダメと言ったら、未来永劫にできない」と、不完全であっても改善しながら前に進めるべきだとした。
また、立憲民主党が「低い」という約14%の利用率についても「逆に言えば、今後マイナ保険証と紙の保険証を併用して、約14%からどうやって利用率が上がるのか」とし、高齢者への配慮という声には「そういう意見がこの20年で、日本をデジタル後進国にしてしまった。1990年代はあれだけテクノロジー立国だったはずなのに、こんなに遅れてしまった。いつまで経ってもデジタル後進国から抜け出せないまま、紙と一緒に生きていくのかと思うと、暗澹たる思いにもなる」としていた。
また、ギャル系モデルでタレントのあおちゃんぺは、利用者としての本音を語った。「(切り替えの)期限は作った方がいい。私はめんどくさいから、紙が使えるなら一生紙で行く。1年後に使えなくなるとなれば、初めて焦ってカードを作りに行くと思うし、たぶん周りもそう。ちゃんと期限を決めないと、私みたいなのが一生使い続けてしまう」。
(『ABEMA Prime』より)
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