■改憲での創設に賛否両論
韓国の情勢に詳しい龍谷大学教授の李相哲氏も、韓国での非常戒厳と緊急事態条項を比較した上で、制度の必要性とその運用について述べた。「制度はあった方がいい。ただその制度をどのように整理をするか。例えば日本も自衛隊がいて、武力を持っている。それは暴力に走る可能性があるから、それを制御する憲法もあるし装置もある。韓国の場合は憲法で大統領が非常事態を宣言する権限があるが、憲法77条で戒厳が不当だと、国会議員の過半数が議決すれば戒厳は解除しなければならない。それが機能しない場合は、誰か野心家が出てきてクーデターを起こすことがありうるが、それを制御するのは世論や国民。制度と運用は分けて考えた方がいい」と説明した。
ただ、この運用について藤原氏は韓国のケースが「僥倖だった」と表現。今回は国会議員の過半数が集結し、非常戒厳の解除が可決されたが、先に軍が国会を制圧していれば、現在でも非常戒厳が継続していた可能性が高いからだ。「たまたまそのストッパーが機能したのは僥倖。制度が完備されていたから必然的に止まった逆クーデターではない。不安定な制度、あった方が危険な制度という側面は無視できない」と指摘した。また、有事に備えた法制化については反対ではないという立場を示した上で「憲法まで遡ってやる必要がないと言っている。現に法制化されている条文を擁した法律はたくさん存在する。憲法という最高法規まで遡ってそれをやるかやらないかの話であって、三権分立まで崩してまでそれをやりますかということは、慎重に話すべきだ」と述べた。
これにひろゆき氏は「憲法を変えないで全てのものが対処できるなら僕も藤原先生に同意だ。ただ、(現行の)憲法を超えた範囲でやらなきゃいけないこともある。原子力発電所的なところを外国人が選挙して日本人、民間人を盾にした時、犯人を殺せば何百万人が助かるかもしれない時、現場の警察官や自衛隊に殺していいと今の法律で言えないのでは。憲法を変えないとできないような事態が想定されるなら、そこは憲法を変えなきゃいけない」と、有事をイメージして改憲の必要性を説いた。
また李氏も「韓国の戒厳は戦後、数回しか発動していない。しかも戦争のために作った戒厳ではなく、例えば一般市民が略奪に走って収拾がつかなくなったとか、そういう時でも戒厳はしくことができる。だから必ず戦争が起きたから使うものでもなく、国家の秩序を取り戻すために、何が一番素早い対処方法かという時に、最高で最後の手段が戒厳。文民統治の民主主義国家で、一時的に秩序を戻すもの」と付け加えていた。
(『ABEMA Prime』より)

