■今後はどうなる?日本ができることは?

ジャウラニ氏
拡大する

 アサド政権崩壊の中心となった、シャーム解放機構(HTS)の前身は、アルカイダ系「ヌスラ戦線」だ。代表のジャウラニ氏は過去アルカイダに参加し、米軍に拘束・投獄されたこともある。米国はHTSをテロ組織に指定し、ジャウラニ氏に関する情報に対して約15億円の懸賞金も出している。

 アセム氏は「HTSが良い組織か、悪い組織か、いま判断するのは難しい」としつつ、「これからシリアは、どんな政権になるか。もしアサド政権と同じようになるならダメだ」と心配する。

 シリアの新政権樹立はどうなるか。過去の例を見てみると、アフガニスタンでは2021年にイスラム主義組織「タリバン」が政権掌握し、イスラム法を根拠に女性の教育など厳しく制限した。また、リビアでは2011年のカダフィ独裁政権崩壊後、イスラム主義派と世俗派が対立し武力衝突が起きた。その後、暫定政府ができるも、総選挙延期などで混乱が起きている。

 新たな国づくりを進める上で、どのような課題があるのだろうか。杉谷氏は「北西部のイドリブに押し込められていた人々が、政権崩壊で自分の家に戻れるようになった。しかし、元の家が爆撃されていたり、兵士の拠点になっていたり、住める状況ではないことも多々あると聞く。市民レベルでは、住居再建が必要になってくるだろう」と答える。

 また、日本ができることについては、「ロシアもイランも、アメリカも揺れるなか、(シリアは)国際的な空白地帯に入っている状況だ。今後どのように支援して、関わっていくのか。中東におけるプレゼンスの高め方をゼロから考えられるチャンスでもある。日本政府には、それをうまく生かしてほしい」と述べた。

(『ABEMA Prime』より)

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【映像】アサド政権なぜ崩壊?圧政でシリアに帰れなくなった男性「反体制派が良い組織か悪い組織か、いま判断するのは難しい」
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