■「加害者にあえて優しく」? いじめへの対処法は
職場におけるいじめの境界線について、樺沢氏は「定義はない」と難しさを指摘する。「最近は、パワハラ、モラハラ、セクハラだと、ハラスメントの拡大が起こっている。『お前もっと仕事頑張れよ』と悪意なく言ったことが、圧力として受け取られてしまう。私は、悪意が存在するのがいじめだと思う」。
そんな中、「加害者にあえて優しく!」というのが、樺沢氏の対処法だ。「例えば、板書で嫌がらせをされた時、“私の良くないところを直していただき、ありがとうございます。技術力を向上させたいので教えてください”と、私なら言う。優秀なけーたさんへのやっかみも入っていたと思うので、“よいしょ”するのは良い方法だ。また、何かすると余計別のところからくるので、仕事を振られるのであれば“手伝いますよ”などと言うと、なんとなく可愛がられるキャラになってくる」との見方を示す。
また、「人に親切にすると、自分と相手の両方にオキシトシンという愛情物質が出る」とし、「嫌いな人に対しては出づらいが、親切にされること自体はうれしいものだ。笑顔もすごくいいと思うが、そういうポジティブな対応をされると相手もやりづらくなる。しかし、みんな逆のことをしてしまっている可能性がある」と指摘した。
とはいえ、わかっていてもそうした態度をとれない人や、日頃顔を合わせなくてはいけない人もいるだろう。樺沢氏は「嫌がらせなどでストレスがきた時に、“のれん”のような気持ちでいること。顔は笑顔でいながら、“つまらない人がつまらないことを言っている”と受け流すイメージだ。肉体的に虐待などを受けている場合は難しいが、言葉によるものであればスルーする。『レジリエンス』という、心のしなやかさや心の回復力を意味する言葉があるが、このスルースキルを養っていく必要がある」と推奨する。
また、その養い方についても説明。「イメージトレーニングと、その日あった良かったことや楽しかったこと、感謝することを3つぐらい書く。嫌なことを思い出して寝ると余計に記憶が強化されるので、せめて寝る直前は楽しいことを考えて、脳へのダメージやストレスを軽減させる。他人を変えるのは非常に難しいので、精神医学では自分を変えたり、ストレスを受け流すことを重点的にやる。そうすれば相手関係なく、ゼロにはできないものの緩和することはできると思う」とした。(『ABEMA Prime』より)
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