■尹大統領に対して10万人規模の反対デモ
尹大統領が憲法違反と指摘される方法で非常戒厳を宣布し、「内乱首魁」の容疑で捜査が進む中、韓国内では野党・左派だけでなく、与党・右派の間でも、尹大統領を権力の座から追いやる方向で事態が進んでいる。浅羽氏は韓国内で行われているデモの状況を伝えた。「有権者には当然、党派色があり、進歩、保守、左右あるわけだが、それを超えてもうここで踏みとどまらないと、我々が声を出してプレゼンスを示さないと、この「国のかたち」、憲政秩序そのものが破壊されてしまうという点で一致し、この勢いだ」と、10万人を超える規模にもなった集会について説明した。
「かつては「ろうそく集会」と呼ばれたものもあったが、現在ではアイドルのコンサートで応援に使うペンライトが用いられることも多く、寒いこともあって、飛び跳ねて一緒に歌っている。『遊び』『プレイ』にもなっていて、事態は極めて深刻だが、楽しみながらやっている」という若者の様子も伝えた。集まった人々は、それぞれ好きな旗を振る。これも誰かに持たされたものでもなく、簡単に自作でき、「ある種のミームが非常に面白い。歌われているのも、1980年代の民衆歌謡ではなく、少女時代のデビュー曲「また巡り逢えた世界」などK-POP」と紹介する。
ここだけ見れば、非常戒厳という異例の事態をきっかけに国民が様々な形で一致団結へと向かっているようにも見えるが、実際は大きな分断が生じているという。「今、韓国では分断が非常に深刻。分極化(polarization)と呼ばれる現象だ。自分がA党を支持していると、A党がやることなすこと全てに皆賛成。ただしB党が提案していることには全部反対。その政党や政治家のみならず、支持者に対しても、自分と違うだけではなく敵だとみなす。さらには、もう潰してしまえというところまで行く」という。
■韓国内で起きるあらゆる分断 出生率はわずか「0.72」に
