【ベルギーリーグ】シント=トロイデン 0-2 アンデルレヒト(日本時間12月16日/大王わさびスタイエンスタジアム)
勇敢であり的確な判断だったが、悲劇が待っていた。シント=トロイデンのGK小久保玲央ブライアンがハイライン裏へのスルーパスに反応し、ボックス内を大きく飛び出してクリア。しかし、その直後、勢いよく突っ込んできたアンデルレヒトのFWフランシス・アムズに思い切り足を蹴られて激しい痛みを訴えた。
パリ五輪で脚光を浴びた日本人GKが悶絶したのは、シント=トロイデンが第18節にアンデルレヒトと対戦した12分のことだ。ゴールレスで迎えた中、ホームチームはハイラインの裏のスペースを突かれた。
アウェイチームはFWカスパー・ドルベリが縦パスをワンタッチで落とし、FWアンダース・ドレイヤーが右サイドから中央に走り込みながら左足でスルーパスを出す。すると、アムズが左サイドからの斜めのランニングで完全にラインブレイクに成功。シント=トロイデンのDFラインを置き去りにした状態でゴールに向かって走っていく。しかし、小久保が集中力の高さを発揮する。ドレイヤーのスルーパスが強く、アムズが間に合わないと瞬時に察知し、ボックス内を大きく飛び出す。全力ダッシュでペナルティーアークよりも前に出ていくと、小久保はアムズよりも先にボールに到着した。その差は、半歩分。どちらが触ってもおかしくないギリギリのところで背番号16が大きく蹴り出し、何とかピンチから逃れた。
そもそもアムズがオフサイドポジションであったため、ボールがピッチ内から出た直後に笛が鳴り、仮に小久保が間に合わなくてもノーゴールだった。
ただし、勇気のあるプレーには代償が……。クリアに使った小久保の右足が、ボールを触ろうと振り被ったアムズの右足に激しく蹴られたのだ。小久保は接触と同時に吹っ飛び、ピッチに強く打ち付けられる。そして、身体を回転させながら、右手で負傷部を押さえ、左手で芝生を叩き、痛みを激しく訴えた。
決定的な瞬間はリプレイに収められており、アムズの右足の足裏が小久保の右足首にヒットしていた様子が中継に流れた。その後、シント=トロイデンのサポーターが大ブーイングを送る中、チームドクターが小久保の状態を確認する。同胞のMF伊藤涼太郎も駆け寄って心配し、足を蹴ってしまったアムズも小久保に近寄り謝罪した。
小久保は約1分後に立ち上がった。飛び跳ねるような動きで足の痛みを確認してから、ゴールマウスに戻ってプレーを再開させている。
(ABEMA de DAZN/ベルギーリーグ)