■「中国の人たちは意見を表明することがリスクになることを常に考えている」
━━ 不満があったとしても、中国では指摘したり声を上げたりしにくい印象があるが、そのあたりはどうか。
「表現したり訴えたりする方法が少ないのも問題だと思う。SNS上で自由な表現をしても削除される。また、中国には古くから信訪制度(しんほうせいど)があり、相談所のような場所に訪問して訴えを起こしていたが、近年、その動きが制限され始めた。
一方で、広東省の政府が運用しているアプリでは、自分たちの意見を政府が聞いて解決していくシステムができている。
ただし、中国はかつて、「百花斉放・百家争鳴(ひゃっかせいほう・ひゃっかそうめい)」という経験をしている。1956年に中国共産党が政権への批判も含め自由な発言を呼びかけたが、党に対する厳しい意見があまりにも出過ぎたため、声を上げた人たちが弾圧される対象に変わった。
またコロナ期間中、中国では健康コードというアプリがあった。緑のコードの場合、自由な移動ができるが、赤のコードになったら移動が制限される。そのため、意見などを訴えたい人たちを、わざと赤いコードにして移動を制限するということもあった。
こうした経験から、中国の人たちは、情報を意図的に操作されたり、意見を表明したりすることがリスクになることを常に考えている。先日、北京の新聞に『6年間で1.5億件の相談やクレームを受け付けた』『解決率と満足率が97パーセントに達した』という、いかにもタイミングを見計らったような記事が出た。今、一般の人たちが思っている気持ちを、中国政府は非常に気にしていることがわかる」
(ABEMA NEWS)
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