そんなコーチュー村の村民たちに共通しているのは、「戦わない」選択をした人々だということ。4児の父・オオンさん(43歳)もその1人だ。約10年前までオオンさんもカレン民族軍の兵士として戦いに参加していたが、現在はミャンマー兵の命を奪ってしまったことを激しく後悔している。懺悔をするため毎日寺院へ通い、祈りを捧げているのだそうだ。
オオンさんの自宅を訪れると、壁には子どもたちの写真がたくさん飾られていた。4人の子どもを育てるため、オオンさんは商店の経営に加え、キャッサバイモやピーナッツ、トウモロコシ、こんにゃく芋などを栽培し、懸命に働いている。お金がかかるのは、子どもたちを全員、タイの学校に通わせているためだ。「タイの学校を卒業したら就職に有利。カレン族だと差別する人もいる。だからお金はかかるけど、子ども4人をタイの学校に通わせている。子どもはタイで暮らす権利も持っているから」とオオンさん。彼の子どもたちはタイの病院で産まれたため、タイの国籍も取得できるのだという。寂しい気持ちはあるものの、子どもたちは早くこの村を出て、安全なタイに住んでほしい。それが父としての願いだ。
ドローン撮影に怯える村人たち「我々の村はこれで爆撃されている」

