■トランプ氏再任で中絶禁止の風潮強まる?
トランプ氏は、前回の政権下で最高裁判事に保守派を3人指名。その影響もあり、2002年には米連邦最高裁が、女性の中絶の権利を合憲としてきたこれまでの判決を覆した。また、各州に判断を委ねるというスタンスにより、10以上の州で中絶を認めない方針を取るようにもなった。今回のトランプ氏再任により、再びアメリカ内で人工妊娠中絶の禁止の流れが強まるという見方もある中、日本で中絶を担当する医師の心境も複雑だ。年間約2000件の中絶手術を行い「女性の選択権は必要」と考える婦人科医・佐久間航氏は「アメリカのこの状態は、なかなか厳しい。今、婦人科医として推し進めているところは、自分の体に関する決定は、自分でコントロールしていきましょうという考え方が強くなってきている。そこには逆行していると思う」と述べる。様々な理由で、妊娠が必ずしもその女性にとって望まないケースも多々あり、その現実に直面しているからこそ、禁止の流れには違和感を持つという。
一方、「女性の人工妊娠中絶を行う自由」が憲法に明記されているフランスで生まれた研究者のポール・ド・ラクビビエ氏は、キリスト教カトリックの信者で、中絶には強く反対の立場を取る。「フランスの制度はひどい。全ての『死の文化』を止めようとするアメリカの動きはいいと思う。そもそもお腹にいる赤ちゃんの命を大切にするという、基本的な人間らしさを大切にすることが社会にとって大事だ。家族を大切にしない社会、つまり中絶という、一番弱い者を殺してもいいとする社会には将来はない。家族を大切にして、女性らしく生きていくために、子どもが生まれたら子どもを大切にしたいと思うはず。中絶をしてもいいとなれば、家族はとんでもなくなるし、女性も赤ちゃんを守れない」と語った。
■ひろゆき氏「どこからを人間とみなすかは誰かが決めなければいけないこと」
