■反対派が指摘する環境アセスメントの問題点 開発事業者「影響調査は継続」

 「カンムリワシの里と森を守る会」事務局長の井上志保里氏は、反対の大きな理由として「石垣市の価値である貴重な自然を破壊すること」をあげる。「コダマカワザンショウ属は世界でも西表島と石垣島が北限で、非常に重要な立ち位置。こうした生き物が石垣島のマングローブにいることに誇りを持ってほしいのが1つ。特にこの種は生息条件の好みがうるさく、石垣島でも2カ所しか見つかっていない。そのうちの1カ所がゴルフリゾート開発の近辺で、八重山の固有種を失ってしまっていいのか。カンムリワシも、石垣市の鳥なのに市が開発で追いやろうとしているという、この矛盾した状況は考えなくてはいけない」。

開発予定地の地図(左下段、カンムリワシの里と森を守る会事務局長・井上志保里氏)
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 長山氏は開発予定地について、「石垣島は小さな島なので、どこでも造れるわけではない。今回、事業者が所有していたまとまった土地の近くに、石垣市の土地もあった。今回の事業は、石垣市というより民間の投資で行うもの。石垣市が土地を用意して開発するとなると多くの税金がかかるので、なかなか土地は限られてくると思う」との見方を示す。

 井上氏は環境アセスメント(環境影響評価)の問題点として、「カンムリワシの生息を一部しか調査していない。アセス終了後、用地内にて営巣の事実が確認された」「1日100トンの地下水汲み上げや、ゴルフ場で使用する農薬の影響について、十分調査していない」などをあげている。

 番組が開発事業者に取材したところ、「過去複数回の住民説明会を実施。反対派住民の声を受け、可能な範囲で図面を変更するなど対応(カンムリワシの生息が確認された南西側部分を予定地から除外するなど)」「環境アセスについては県とも協議の上で進め、法的にはすでに終了しているが、環境への影響調査は現在でも続けている」とコメント。観光団体などからは、早期着工を求める声も多いということだ。

 これに井上氏は「アセスメントも科学的に分類が間違っていたり、下流域で重要なラムサール条約湿地の名蔵アンパルの影響が無視されているという指摘が、各学会からされている。ゴルフ場を作ること自体には反対していなくて、それらに向き合わない状態で住民への説明責任を果たしたというのは、少し違うのではないか」と投げかける。

 長山氏は「私たちも環境を破壊したくないという気持ちは同じだ。地下水にしても、赤土にしても、その他の生態系にしても、着工後も定期的にモニタリングしていく。そこは事業者が法令に則って、県と密にコミュニケーションを取りながら進めている。我々としても重視するスタンスだということはお伝えしたい」と訴えた。(『ABEMA Prime』より)

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