■政治家にとって飲み会は最強の「営業手段」か

飲み会多すぎ?
拡大する

 母でもある女性政治家が、夜の会合に出られないケースがあることでは一致するものの、会合への出席に対する価値観となると、意見は分かれてくる。支持者が集まる会合への参加は、票につながることは想像しやすい。むしろ、なかなか人が立ち止まることもない街頭演説よりも、酒を飲みながら会話ができるという機会は、非常に貴重だという考えもある。宮崎氏は「今はSNSというツールもあるし、日中に働くことも大事。別にわざわざ夜に働かなくても、日中を充実させればいい。たとえば私がSNSで『今日は子どもを預けて新年会に行ってきました。ハシゴしています。楽しいです』みたいな投稿をした時に、政治に興味がある子育て中のお母さんが『こういう働き方しているんだ。じゃあ(政治家目指すの)諦めようか』と思う人も出る。飲み会に行かない議員は少数派だが、そういう人もいることで、チャンスを与えられたらいい」と思いを述べた。

 一方、門氏は自身のキャラクターも活かし、会合の場を前向きに捉えてはいる。「業界団体さんの懇親会などに呼ばれて、そこに挨拶に行くということが多い。人が集まることを否定するのはおかしい。政治家を呼びたいから集まるのではなく、彼らが集まっているところに来賓として呼ばれるケースが多い」と状況を説明。また「私も子どもがいながら政治活動をしているが、時間的制約を抱えて活動量が減ると、有権者の方とのインターフェースが著しく落ちて、落選もする」。経産省にいた当時の経験からは「経産大臣なんかは、業界団体もたくさんあるから、エクセルファイルがわーっと震えるぐらい(会合の数)がある。分担して代理の誰かが行くようにしたり、祝電だけにするとか、そういうこともしている」と、大臣レベルであっても“顔をつなぐ”ことに必死だと伝えた。

 ダイニーの創業者で代表の山田真央氏は、学生時代にインターンとして衆議院議員の秘書の手伝いをしていたことがある。「まさに飲み会のロジを全部僕がやっていた」といい、政治家が抱える会合の数や、その意味合いを目の当たりにした。この経験を踏まえた意見として「これは構造的な問題。個人の投票率が低いから。企業とか政治団体とか、そういったところは投票率が高いが、個人は低い。だったら投票率の高いところに営業に行くし、その営業の手段が飲み会。1日に5回とかもあったが、選挙に勝つ戦略としては、絶対に『飲み会営業』には行かないと行けないという、ある種の暗黙のルールがあるし、逆に支持率が高ければ、そこに行かなくてもそうは落選しない」と語った。

■兼近大樹「僕もずっと飲み会に行かなかった。飲めて面白いやつだけが勝つ」
この記事の写真をみる(4枚)