仲間と見る将棋って、こんなに楽しい――。そんな瞬間が捉えられた。全国を8つのブロックに分け、エリア対抗の形式で行われる団体戦「ABEMA地域対抗戦2025 inspired by 羽生善治」の予選Aリーグ1回戦第1試合、関西A 対 九州が1月25日に放送された。宮崎市出身の都成竜馬七段(34)の対局中には、チーム九州のメンバーが「回って!回って!うわああ!」と大興奮。もはや何の競技の応援!?とツッコミが入るほどの盛り上がりを見せた。
チーム九州の1勝2敗で迎えた第4局・副将戦。都成七段は、関西Aで振り飛車党の第一人者でもある兵庫県加古川市出身・久保利明九段(49)との対戦に、「居飛車か振り飛車か、揺さぶりたい」と作戦を温めていた。都成七段の先手番となった本局は、序盤から“飛車を振るのはどちらか”という激しい駆け引きが繰り広げられることに。結果的に久保九段が居飛車を選択すると、解説の伊藤真吾六段(43)からは「久保九段ですよね!?」の声が上がった。
対抗形の将棋から難解な中盤戦で抜け出し、主導権を握ったのは久保九段。都成七段は猛攻に出たが、久保九段は徹底した受けに回る展開となった。終盤、チーム九州の控室では久保九段の馬にめがけて強く飛車を回る▲7九飛に期待が寄せられる。長崎県出身の深浦康市監督(52)、その愛弟子の佐々木大地七段(29)は「回って。回って。7九!頼む!回れ!」。福岡市出身で名人3期の佐藤天彦九段(37)も「これ焦るね、回られたら」と同意し、とモニターに向けて念を送ることに。しかし、都成七段の選択は▲5三桂成!チームメイトの願いは届かず、「うわあああ!」と全員が身体を大きくのけぞらせていた。
チームメイトと見るから将棋は楽しい。そんなチーム九州・控室の様子にファンも爆笑。わっちゃわちゃのメンバーの姿に、「いやあおもしろい」「たのしそう」「うけてる」「みんなでずこーっ」「控室おもしろいな」「わろてるで」「まわれ、あー」と多数の反響が寄せられていた。
この後も久保九段は辛い手を連発。最後は都成七段の攻めを完全に切らして勝利。都成七段は経験の差を見せつけられる敗戦に、「自分の悪いところや課題が出て、気が付いたら時間が無くなり乱れてしまった」と悔しい表情を見せていた。
◆ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治 全国を8ブロックに分けた「地域チーム」によって競う団体戦。試合は監督と出場登録棋士4人の計5人が参加。全員が1局ずつ指す「ステージ1」と、ステージ1で勝った棋士が負けるまで指し続ける「ステージ2」に分かれ、5人を先に倒した方が勝利チームとなる。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。大会は2つの予選リーグに4チームずつ分かれ、変則トーナメントで2勝すると本戦進出。ベスト4となる本戦は通常のトーナメント戦。
(ABEMA/将棋チャンネルより)