しかしながら、移民たちが望みを託していた噂が、現実になることはなかった。それでも国境前に集まった移民たちは、公式的に受け入れられることを信じ、国境警察に必死の訴えを続けたが、待っていたのはガス弾による攻撃だった。移民たちの多くは計画を断念せざるを得なかったが、そのなかにはアメリカへ渡れると信じ、住んでいた家の契約を更新しなかった家族も。17人で身を寄せてきた家賃1400ペソ(約1万円)、2LDKのアパートを、この日のうちに退去しなければならなくなった、ペレス家族。ベネズエラ移民のその一家は、複数の家族が集まって構成されており、全員に血のつながりがあるわけではない。不法移民のため就労が困難な彼らは、助け合って生活してきたのだという。
マフィアに金を払い妻は先にアメリカへ…残された男性が描くビジョン
