近年、多くの教科で重視される傾向にある「読解力」。ただ、去年の全国学力テストを見ると、中学生の国語の“読む力”が前年度より15.7ポイントも低下している。一端として、SNSでの短文文化や、本より動画を見ているからとの指摘もある。
もし、このまま読解力が低くなっていったら――。日本の未来について、『ABEMA Prime』で考えた。
■「授業を受けている子どもがテレビを見ているような態度」
「ただよび」校長で現代文講師の宗慶二氏によると、現代文の成績は2極化が顕著で、特に中間層の低下が著しいという。読解力低下の理由としてあげるのは、コロナ禍で対面型の交流が減少したことが1つ。どう見られているかを気にしないようになり、社会性が低下したという。もう1つが、テクニック論重視の教育で、受験勉強などで効率よく成績を上げるタイパ重視の価値観が強まったことをあげる。
「設問に正しく回答したり、文章を読むといった能力の低下というよりも、社交性や共有性が低下しているように思う。読解力は、書かれている文章を読むだけではなく、人の話を正確に聞いて理解できるか。さらに言うと、顔色から相手の気持ちを推し量る、体調をみる、場の空気を読むことも含めて、“その人・その文章をわかろう”という共感能力が根にあると思う。今の子どもの重大な欠落を見るとしたらおそらくそこ。コロナ禍以後、授業を受けている姿勢は、テレビを見ているような態度になりつつある」
また、最近の子どもの傾向として、「明確な手がかりを求めがち」だそうだ。
「“あなたなんて嫌いよ”と言ってしまう“好き”だってあるし、深い愛情からの“お前はバカだな”だってあるはずだ。“桜咲く”という言葉に合格したという情報は一切なくても、僕らは“合格”という意味で捉えないといけない。今の子どもは問題の正解を選ぶ時、“文章のどこにその言葉・表現があるのか。線を引くから言ってくれ”と、明確な根拠を求めがちだ。確かに、文章中に解答の手がかりはあり、選択肢も相まって正解になる。ただ、重要な人格形成期に、正解は1個しかないとか、手がかりは必ず線を引けるとずっと習っていると、いつの間にかそれは自分の習い性となってしまう」
■読解力が低下した社会は「悲惨な結果になる」 伸ばし方は

