■年々加速するXの質低下 ネガティブばかりと嘆く声も
「ニコニコ動画」などを運営するドワンゴの社長でもある近畿大学・情報学研究所所長の夏野剛氏は、Togetterがまとめる元になっているXの荒れぶりを嘆く。「僕もTogetterにいろいろお世話になったし、いっぱいまとめサイトがあったが、Xの質の変化がベースにある。2017年ぐらいまでのTwitteは『両論』だった。例えばこんなことを言っていると炎上しても、いやいやその人はそういう意図で言っているのではないと違う意見も出ていた。本当に悪意だけで捏造したり攻撃している人がいると『それは違うと思う』と守ってあげるカルチャーがあった」と、当時を振り返る。その上で現在の質の低下には「いつのころからか、例えば有名人を擁護したりすると、逆に攻撃を浴びたりする。浄化作用というものがなくなって、罵詈雑言や否定的、ネガティブで攻撃的なメッセージがほとんど主流になっている印象を受ける」と苦言を呈した。
ネガティブがXに蔓延すれば、それをまとめたTogetter内では、さらに色合いが濃くなる。「まとめサイトを作っても、まとめが両論併記ではなくなる。昔のTogetterというのは両論併記だった。こういうことを言っている人がいたけど、それに対してこういう意見があって、だから見ていておもしろかった。今はもうネガティブ側にガーっといってしまう。そのネガティブな意見を、さらに増幅してまとめている人とかもいるのではないか。ただそれは、Togetterがヘルシーじゃないのではなく、Xそのものが変わったということで、吉田さんに罪は全くない」と語った。
これに吉田氏も「Xの状況がよくないのはその通りかなと思うし、一方でだからこそTogetterみたいな場所で、いかにそのX上の議論を分かりやすくまとめていくかにも、意義があると思っている。誹謗中傷ももちろんあるが、そこは社内でコントロールして、目立たないようにするとか、必要があれば削除するみたいなことはやっている」と加えていた。
ここで夏野氏は、Togetterが挑戦できるものとして、ファクトチェックのサービスを提案した。「Togetterの社内スタッフの方がファクトチェックをやるサービスを付けたらどうか。チェックしたら『これはどうも違うようだ』とか、注釈をつけてあげる。それを価値と見る人もいると思う。X上にもいるが、そういう人たちが減っているし、する人はすごく攻撃される」と述べた。この案について、ひろゆき氏は「(X上で)ファクトチェックをしている人たちの偏りが問題を起こしているし、Xが落ちていった理由の一つでもある。トランプ大統領が勝った理由は、僕はそれだと思う。ファクトチェックをしたがる人たちは『私の意見が正しい。他のやつは間違っている』と言いたい人たちが集まってくる。お金をかけて弁護士を使えばいい」と述べた。
吉田氏は「難しい問題として、捏造じゃないがウソの情報のほうがいっぱい拡散してしまう問題はよく起きているし、訂正ポストは全然広まらない。うちが二次的にちゃんと情報を出していくとか、そこを拡散してあげるみたいなことは価値の出し方としては一つやれるところかなとは思う」と述べると、これにもひろゆき氏は「デマとかウソを流したいと思うエネルギーの高い人に比べて、善意でこれをなんとかしようとしている人が少数で時間が少なすぎる。善意と悪意で戦うと、いつも善意が負けてくるという、この構造はもう変えられないのではないか」と見解を示していた。
(『ABEMA Prime』より)


