DBS
【映像】男児への性的暴行で逮捕された学童補助員
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 30代の男が、当時7歳の男の子をトイレに連れ込み性的暴行を加え、その様子を撮影した疑いで逮捕された。男が子どもと関わる「学童保育補助員」として働いていたことから、Xでは「一生子どもに近づけないで」といった反応が出ている。

【映像】男児への性的暴行で逮捕された学童補助員

 そんな中、期待されているのが「日本版DBS」の導入だ。イギリスをモデルにした制度で、性犯罪者のデータベースを作り、子どもと接する仕事を希望する人の「性犯罪歴」をチェックする仕組みだ。日本では法律が2024年6月に可決・成立して、2026年の施行に向けて、準備が進められている。

 しかし、日本版DBSには懸念点もある。現在の枠組みで、前科の確認が“義務”なのは、学校や幼稚園、保育園などに限られ、塾や学童、スポーツクラブなどの民間事業者は、国による認定制度を設け、導入は“任意”となっている。また習い事や、フリーランスの家庭教師・ベビーシッターなどは、現状で“対象外”だ。 

 さらに、性犯罪の照会が「最高20年」と期限付きなことにも、不安の声がある。一方で、加害者が更生するチャンスを奪う可能性もある。『ABEMA Prime』では、日本版DBSのあり方を考えた。

■日本版DBS「事業者のチェックで、情報が漏れる危険性」

海渡雄一氏
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 日本版DBSは、求職者が雇用主に応募した際に、雇用主から政府の性犯罪歴管理システムに照会、政府は求職者の了解後、犯罪事実確認書を雇用主に回答する。雇用主によって照会は、“義務”と“認定”に分かれている。

 弁護士の海渡雄一氏は、「事業者のチェックで、情報が漏れる危険性がある」と懸念を示し、代替案として「求職者が『犯罪を犯していない』という証明書を取得できる制度を作り、証明書を付けて応募する仕組みにすれば、前科がある人が職に就かず、情報が漏れる危険性もなくなる」と提案する。

 現状予定されているシステムでは、雇用主が情報を得る。海渡氏は「雇用主が学校なら、そこから情報は漏れにくいが、個人相手の家庭教師まで広げると、普通の親が守秘義務を負うことになってしまう。小規模の学習塾でも同様だ」と懸念を示す。

 性被害を受けた人の当事者団体「Be Brave Japan」代表の石田郁子氏も、「懸念点は全く同じで、犯罪履歴ではなく、『私は性犯罪をしたことがありません』といった“無犯罪証明書”を出してほしいと要望した」と語る。

 現状では「情報が漏れ出る可能性が高い」として、「無犯罪証明であれば、自動車の運転免許のように『できる』『できない』が明快だ。イギリスやドイツでも、本人に証明書が届く。犯罪歴がある人は、自分から子どものいる職場には申し込まない」と説明する。

■「対象職種の枠組み」が今後の課題に?
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