■旧姓の通称使用は限界?
現状では「旧姓の通称使用」が広がりつつあるが、その限界も指摘されている。男女共同参画局は2020年に、「旧姓の通称使用ができない場合がある手続等」「本人や企業等に経済的なコスト・負担等」「本人の心理的な負担等」「改姓によるアイデンティティの喪失」「婚姻の妨げ」「渡航や外国生活における支障」「女性活躍の妨げ」といった点を挙げた。
井田氏は「事実婚で夫の手術時に苦労したため、法律婚で旧姓使用したが“地獄”だった。法人を立ち上げる時に、自分の名前で登記できない。旧姓併記のパスポートを持って海外へ行くと、取り調べを受ける」と説明する。
そして、「『本名はひとつ』としないと、国際的にも困る」と語る。「私は改姓してつらい思いをした。この制度は次の世代に残しちゃいけない。だからこその“折衷案”が、同姓も別姓も選べる選択的夫婦別姓だ」。
戸籍制度の問題点として、「離婚・再婚が当たり前のなかで、別姓なら別戸籍にしなければならない。“家族の一体感”と言う人たちは、戸籍がバラバラでいいのか。選択的夫婦別姓は、別氏でも同じ戸籍の家族としていられる」と話す。
足立氏は、井田氏が触れた現行の“婚氏続称制度”(離婚後も婚姻時の氏を名乗り続けられる制度)に対して、自身の案は“婚前氏続称制度”だと説明する。「結婚前の氏を、結婚後も使い続けられる制度を作ろうと言っている。そこを解消すれば、いろんな不便が解消できる。まずは第一歩として、今国会で合意形成すべきだ」。
これに桜井氏は「足立氏のようなスタイルが合う人にはいい」としながら、「足立氏の戸籍制度の主張は、保守派に忖度しているのかもしれないが、そんな必要はない。それぞれの家庭を互いに尊重すればいいだけだ」と反論した。
(『ABEMA Prime』より)
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