【写真・画像】“死刑確定”青葉被告の命を救った意味 元主治医が明かす被害者遺族からの電話「どうしても伝えたいと」 1枚目
【映像】青葉被告と上田医師が交わしたやり取り
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 36人が死亡、32人が重軽傷を負った2019年7月の「京都アニメーション放火殺人事件」を巡って、死刑判決を不服として控訴していた青葉真司被告が、みずから控訴を取り下げて、死刑が確定した。

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 23回に及んだ審理の大詰めで、遺族や負傷者について聞かれた青葉被告は「申し訳ございませんでしたという言葉しか出てこない。(遺族・被害者に)子どもがいる方もいて、重く受け止めないといけないと考えている」などと、初めて遺族への謝罪を口にした。

 犠牲になった寺脇(池田)晶子さんの夫は、「『やったー良かった』『思っているように死刑判決が出た』という単純な気持ちではない。もっともっとアニメを描きたかっただろうし、子どもの成長を横で見たかったんだろうな」とコメントする。

 しかし、いったん控訴した青葉被告が、なぜ自ら取り下げたのかは不明のままだ。現在は青葉被告の弁護人が、控訴取り下げは無効だと大阪高裁に申し入れ、裁判所は今後、非公開で検討するとしている。

 手塚治虫のマンガ「ブラック・ジャック」には、罪を犯し投身自殺を図った少年が、懸命な治療により命を救われるが、裁判で死刑宣告となるエピソードがある。傍聴席でブラック・ジャックは「死刑にするために救ったのではない」と叫んだ。青葉被告の“元主治医”は、死刑確定に何を思うのか。

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 青葉被告の治療を担当した上田敬博医師は、ヤケド治療の名医だ。現在は鳥取大学医学部附属病院高度救命救急センター長 兼 教授として働いている。母校である近畿大学病院救命救急センターに勤務していた2019年7月20日、同センターに運び込まれたのが青葉被告だった。

 その容態を見て、上田医師は直感した。「もしかしたら助かるというような感じではなく、ほぼ救命が厳しいだろうなという状態だった」。体の93%がヤケドで、予測死亡率は97.45%。一命を取り留めた青葉被告は後に、「世の中には優しくしてくれる人もいるんだ」と涙ながらに語ったという。

 上田医師は、九州大学医学部卒の医師を父に持ち、自らは三浪して近畿大学医学部に合格した。大学2回生の時、阪神・淡路大震災を経験し、ボランティアに入ったが、ケアをしていた女性が自ら命を絶ってしまう。「無力感があって、救急や災害医療をやろうと思った」。その後、池田小学校事件(2001年)、福知山線脱線事故(2005年)、熊本地震(2016年)といった命の現場に関わってきた。

青葉被告の死刑確定に元主治医の思いは?
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