5歳で俳優業を意識した桐谷、東京のクラブでの出会い、そこからモデル事務所へ…「すべてがつながってる」

©2025『知らないカノジョ』製作委員会
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――キャッチコピーに「愛は”もしも”に試される」とあります。リクにとって、ほかのキャラクターにとっても、人との出会いが人生を左右することがあると思います。そこで、お二人の実人生において、自分の人生を決定づけるような、あの出会いがなかったら人生は違っていたかもしれないという出会いがあったら聞きたいです。

中島: そうだなぁ。僕は曲かな。

桐谷: ええやん。なんの曲なの?

中島: YOASOBIの『アイドル』ですね。

桐谷: 最近やん。

中島: アイドルとしての立ち位置を再認識させられたし、それが今年の音楽活動にもつながっていますね。最近だとそれかもしれない。人は、きりけんさんは大きいです。

桐谷: うわ。また、そんなん言うてくれるんですよ。

中島: これまでこんなに自己開示できる先輩って少なくて。本当にベテランの先輩で東山さんにはいろんな報告をしますけど、レジェンドみたいな感じ。きりけんさんくらい先輩なのにすごく近くで話せる人っていなくて。ここまで自分の心をほぐしてくれる先輩に会えたことは嬉しかったし、きりけんさんの存在は大きいですね。

桐谷: ありがたい。もう健人の話で十分でしょ。

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中島: きりけんさんにとって、師匠みたいな人っているんですか。

桐谷: 師匠か…。例えば、俺は5歳でこの世界に入りたいと思ったんですよ。映画を観て、その日の湯豆腐が喉を通らないくらい、悔しくて羨ましくなりました。でもどうしたらいいかわからないまま時が過ぎ…。中学の終わりの会で、職業がたくさん記載されたパンフレットをもらって、芸能界というページを発見した途端に現実を突きつけられたような感覚に陥って、過呼吸になっちゃったんです。隣の席の米田って女の子が手を挙げて「先生、桐谷がおかしい」って先生に伝えてくれましたが、俺は「大丈夫や」って言いながら、このまま夢から目をそらしていたら、いつまでたっても過呼吸になるって思っていました。そんなある日、アメ村で美容師さんからスカウトされてヘアショーに出演することになりました。当日、ほかの出演者たちに「俺、絶対に世界獲ります。絶対にBIGになりますから」って言うて握手して回っていたら、モデルのお兄さんに「ほな、東京行かな」って言われて。TOKYO…? って。俺は単純なので、それからは東京や!ってなって…。そこから…、あれ、これ長いやろ?

――大丈夫です(笑)。聞きたいです。

桐谷: 東京の大学の入学式の日に、また色んな人に「俺BIGになります」って言い回ってたら、ある先輩に「お前オモロいな」とクラブに誘われて、お立ち台で踊っていたときのことです。突然、足が「つめた!」ってなって、下を見たら、白人の男性が俺のひざに氷をピタってつけて笑っていたんです。実はその人が業界の色んな人と繋がっていて、モデル事務所を紹介してくれました。まだまだ続きますがこのへんで。なので、どの出会いがなくても今がないんですよ。すべてが繋がって、健人ともここにいて喋れている、と。すみません、長くて。

中島: 米田さんのおかげですね。

桐谷: 「先生、桐谷がおかしい」ってな。「大丈夫や」って俺は言いながら、な。

――(笑)。映像が浮かんでくるような物語になっていますね。映画のお話にちょっと重なりますが、作品の中では仕事の成功とプライベートが反比例していく部分があったと思います。そこはリアリティラインをもって演じられたのでしょうか。

中島: どっちかがうまくいくと、どっちかがうまくいかない。神様はバランスを取っているなって思いますね。実際、幸せ過ぎると感じたときは怖くなることがあります。だから、満たされないくらいが幸せなのかなって。それが僕の最近の幸せの定義というか。そこはリアリティを持って演じられました。すべて適度がいいと思いながら生きていますが、なにかがよくなってそこに集中すると、なにかがおざなりになる。器用な方にあこがれを持っていますね。

桐谷: 俺は、そこに関しては健人とはちょっと違うかなあ。。幸せだって思ったら、ガンガン幸せになっていいと思うよ。幸せになるためには、何かを犠牲にしないとっていうのは、誰かが言い出したことだけど、そんなに素直にその言葉を聞かなくていいと思う。それより幸せをちゃんと味わってほしい。確かに悩みもあるし、辛いことはある。でもそれはきっと自分を大きくしてくれる起爆剤だと思います。満たされないくらいが幸せなんて、そんなん言うたらいかんよ。憧れられて、ハッピーで、カッコいい健人でええやん。

中島: こういうことをいつも言ってくれる先輩なんですよ。

桐谷: そうじゃないと、永遠に満たされないで終わっちゃう。満たされて、さらに満足する自分を目指すほうがいい。まだまだ健人は伸びしろがあるので、もっともっと幸せになって活躍することが楽しみですし。

中島: 兄貴やな…本当に。のび太がドラえもんを頼るように、リクはかじさんを頼れる。普段がこういう関係だからこそ出た表情もたくさんあります。今回の作品は、神様が作ってくれたキャスティングだと感じています。今、すごく幸せです。

桐谷: おあとがよろしいようで。

――(笑)。楽しいお話をありがとうございました。作品の公開を楽しみにしています。

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『知らないカノジョ』は2月28日(金)全国ロードショー / ©2025『知らないカノジョ』製作委員会

テキスト・取材:氏家裕子

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映画『知らないカノジョ』

公開日:2月28日(金)全国ロードショー
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STORY 
大学時代に出会い、お互い一目惚れして結婚した<リク>と<ミナミ>。それから8年、小説家を目指していたリクは、ミュージシャンの夢を諦めたミナミのサポートのかいもあり、一気に人気のベストセラー作家となった。全てがうまくいっている、そう思っていた。
ところが、ある朝リクが目を覚ますとミナミの姿はなく、出版社に打ち合わせに行くも出会う人々と全く話がかみ合わないことに戸惑いを覚える。なんと人気作家だったはずの自分は文芸誌の一編集部員になっており、街には天才ミュージシャンとして活躍する、自分とは知り合ってもいない“前園ミナミ”の姿と曲が溢れていた――。
 

出演:中島健人 milet 桐谷健太 中村ゆりか 八嶋智人 円井わん / 眞島秀和 風吹ジュン

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