ヨーロッパのキック団体「Enfusion」のライト級、クルーザーの2階級王者のターザンは27戦で25KOのモンスター。一方、日本で実績を積んできたブディオは、あの問題児シナ・カリミアンの後頭部へ一発を見舞って反則負けを喫した黒歴史を跳ね返し、前回は期待の星龍之介を粉砕。K-1重量級の一角として名乗りを上げた。
試合前から両者がニヤニヤと不気味な笑みを浮かべ“ケンカ上等”の海外勢同士の戦い。まず柔らかく左ハイ、右前蹴りとしなやかな蹴りを見せるターザン、やや緩めのガードにブディオが右の拳を叩き込むがターザンは間一髪で回避。さらにブディオは蹴りを連発しフルスイングの右を放つが、ここは空を切る。
「当たったら終了」のピリピリムードにファンも「圧力がエグい」「バケモノ同士の試合だ」とざわつき始める。脱力したフォームから軽い蹴りやパンチを放っていたターザンはギアを一段あげて強い左ハイ、しかしコーナーに押し込まれていたブディオがアゴに一発右を当ててグラつかせると一気に前へ。
一瞬効いた素振りをみせたターザンだが、すぐに何事もなかったかのようにリカバリー。落ち着いた足取りで左右のハイキックや遠距離からのストレートやボディジャブを的確に当て返す。対するブディオも伸びのあるストレートを何発も顔面に叩き込み譲らない。
相手の猛攻に対してターザンはいなすような動きから、軽いショートパンチを効かせると実況席の魔裟斗が「今の猫パンチですよ」と脱力系パンチに反応するが、クルーザー級のパンチの威力は決して”猫”ではなかった。
ターザンがちょこんと軽く放つジャブだが「グシャ」と乾いた音。フィジカルの強さだけで甚大なダメージを与える攻撃力に魔裟斗も「競技じゃないK-1」と苦笑いだが、その発言の直後、ターザンが絶妙なカウンターで左をアゴ先に“ちょこん”と合わせると、被弾したブディオは座り込んだまま沈黙。ファンも「どんだけパンチ重いんだよ」「確かに強いわ」「ジャブで吹っ飛んだ」と騒然となった。
野生児の名前からは想像出来ない実にスマートなKO勝利に魔裟斗も「上手いなぁ。見えなかったですよね、左の小さいパンチ。タイミングが良かったですよね」とコメント。最後は「ターザンはラフファイトの選手かと思いきや、しっかりとした技術を持っている」と大絶賛だった。
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