先日、兵庫県の川西市で、ある事故の負傷者とその家族が集まった。今回で149回目の当事者会「負傷者と家族等の会」というこの会合。彼らの人生を大きく変えたのは、約20年前に起きたJR福知山線脱線事故だ。
【映像】マンションに激突し、大きく折れ曲がった車両…事故直後の様子
2005年4月25日、JR福知山線の快速電車が制限速度を超え、カーブを曲がりきれずに脱線。マンションに激突した。乗客と運転手の107名が死亡し、562名が負傷した。1両目に乗車し重傷を負った女性は、今もある罪悪感に苛まれているという。
「自分が生き残ってしまい、もっと生き残るべき人がいたのではないかという気持ちをずっと引きずっている」
自分がこうしていたら助かった命があるかもしれないなどと考え、自責の念に駆られる罪悪感。この感情は「サバイバーズ・ギルト」と呼ばれ、事故だけでなく、多くの犠牲者が出た事件や災害でも起こりうること…経験した場合どうすればいいのか。『ABEMA Prime』では、サバイバーズ・ギルトについて専門家が解説した。
■サバイバーズ・ギルトとは
サバイバーズ・ギルトについて、武蔵野大学人間科学部教授で精神科医の小西聖子氏は、「被害者が生き残ったことや、自分の被害が少ないことに関して感じる罪悪感だ」と説明。
また、「PTSDの症状の一つとして現れることもあるし、PTSDでなくて現れることもある」と補足した。
そもそもPTSDには4つの症状があり、フラッシュバック、悪夢、辛い記憶を突然思い出す「侵入症状」。電車を避ける、人混みに行けなくなる「回避症状」。健忘、感情の変化、サバイバーズ・ギルトの「認知と気分の陰性の変化」。落ち着きのなさ、不眠、緊張などから、うつ病、不安障害、パニック障害などを併発する場合もある「覚醒亢進症状」。
サバイバーズ・ギルトは病気ではなく、「とても普遍的な人間の自然な反応で、診断基準があったりするわけでもない」と述べた。
■経験した人はどうすれば?当事者との接し方は?

