【写真・画像】「初任給が上がった流れで管理職の給料もドカンと上げよ」…“管理職不足”の弊害と解決策を考える 1枚目
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「管理職になって良かった」と感じている人=60.8%(マイナビ転職の調査)。

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 出世の象徴である管理職。なぜ4割の人が「なって良かった」と思えていないのか?

 拓殖大学経済学部の佐藤一磨教授に話を聞いた。
 

管理職になると“不健康”になる?

拓殖大学経済学部の佐藤一磨教授
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「すごく仕事が大変そう。だけど、その分報酬がすごくいいってわけではない。給料がなかなか上がらないことが、管理職の魅力を小さくしてしまっているところがある」(佐藤教授、以下同)

 報酬の他にも管理職になりたくない理由があるという。

「管理職になってから数年間、主観的な健康状態が悪くなっているという分析結果がある。オーストラリアの研究では、メンタル面が昇進1年後から3年以内に悪化することが分かっていて、心も体もダメージを受ける状況にあるのではないか」

 実際、マイナビ転職の調査でも、管理職になってからの変化として、およそ7割の人が「仕事の比重が増えた」「心身の健康が損なわれた」と回答している。また、佐藤教授によると「管理職になったからといって幸福度が上がったというデータはほぼない。むしろ下がっている、マイナスの影響がある」といった研究もある。

 管理職に昇進しても幸福度は上昇せず、健康状態は悪化する状況に佐藤教授は危機感を抱いている。

「下の人が上がりたくないと思ってしまうと、そのスキルを持つ人材が育たないことが問題になるのではないか。今後の企業の知識形成やスキルの向上に中長期的な問題が出てくる可能性がある」

 労働力不足ならぬ、管理職不足に陥っている日本。管理職の幸福度を上げるためにはどうすればいいのか。

「仕事の報酬と仕事量のバランスが悪くなっているのが最大の原因。労働力が不足していて初任給が上がっている現状を考えると、その流れに乗って管理職の報酬体系を見直し、給料をドカンと上げ、より管理職になりたいと思う人を増やす環境にしていくべきではないか」と佐藤教授は提言した。

年収700万円なら管理職になってもいい?

管理職の悩み
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 管理職が抱える問題について、EVeMエバンジェリストの滝川麻衣子氏は「やっぱりマネージャー業務の負荷が重い・高いことが大きなトピックだと思う。バブル崩壊以降、企業業績が悪くなる中で、管理職のポストは減らされ、一人の管理職が見るメンバーの数が多くなった。かつ、生産性が上がらない中、業績は上げなきゃいけない。管理職はメンバーを見て、業務もやらなきゃいけない『プレイングマネージャー化』している。働き方改革でメンバーが定時で帰ったあと、残業でなんとかやっている管理職もけっこういる。なおかつ、セクハラ・パワハラ関連のトラブルとか問題も見なきゃいけない」と説明。

 では、それほど大変な管理職の年収はどの程度なのか?

 マイナビ転職によると、管理職手当の中央値は、理想=月10万円だが、現実=月5万円だという。また、管理職に「なって良かった」と思う人の年収中央値は700万円で、「なって良くなかった」と思う人の年収中央値は550万円だ。

管理職の“魅力”とは?

管理職めぐる企業の取り組み
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 では、企業はどのように改善すべきなのか?

 滝川氏は「一つは生産性を上げるために業務効率化を進める。そのために権限を移譲・分担、DXを取り入れ、残業でこなさなきゃいけない環境を改善しなきゃいけない。もう一つは、上の世代の時には通用していた“縦型マネジメント”の次のマネジメントのスタイルの確立だ。ここに関しては、やっぱり“役割としてのマネジメント”というフェーズに入っていくべきだ。『私は意思決定をする、皆さんを育成する役割です』という立場が管理職であって、人としては対等。ここに徹することで、『上の言うこと絶対』みたいな、組織の息苦しさみたいなものを脱却して、チームで共創する仕事の仕方に変わっていく」と提案。

 管理職の魅力については「チーム全体の成果が大きく出た時のみんなでの喜びはやっぱりある。あと、“人が輝き出す瞬間”は嬉しい。『この人もこんなことができるようになっていったんだ』みたいな嬉しさはある」と述べた。
(『ABEMAヒルズ』より)

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