日本銀行は37.2兆円もの上場投資信託ETF(Exchange Traded Funds)を保有している。
なぜ日銀はこれほどの額を保有しているのか? そして売却の可能性はあるのか? エコノミストの崔真淑氏に聞いた。
━━そもそもETF(上場投資信託)とは何か?
「投資信託にはざっくり2種類ある。上場していつでも気軽に株式市場で売り買いができる上場投資信託と、証券会社などを通してしか買えない投資信託だ。そして、ETFは購入するときの手数料、また上場投資信託を運用している会社に払う、維持するためのお金も相対的に安い傾向がある。この上場投資信託、例えば、日経225とかTOPIXと言われる株式に連動するような上場投資信託もある」
━━なぜ日銀はここまでの額のETFを購入してきたのか?
「中央銀行が株式リスク資産を買うことはすごく異例で日本ぐらいしか行っていない。ではなぜ買ってきたかというと、リーマンショックの辺りから株はすごく下がった。そこから少しずつ買って、そして2013年のアベノミクスが始まったあたりから『とにかく株価を上げて、いろんな企業が株式での資金調達をしやすいようにしよう。それによって経済を潤わせよう』という狙いで、株式のETFもどんどん買ってきた経緯がある」
━━日銀がETFを購入するとどのような問題があるのか?
「中央銀行の仕事はETFを買うことよりも、私たちが今使ってる貨幣の価値を維持していくことだ。日本銀行の財務体質が健全でないと、お金の価値を信用してもらえなくなる。財務体質は健全であるべき日本銀行がこんなに価格が変動する株式をたくさん買って大丈夫?と非常に言われていた」
━━今後は売っていく形になる?
「間違いなくそうなる。植田日銀総裁はいつかどこかでは売りたいが、今までの経緯を見てみると日本銀行が『株式、ETF買えますよ』と言うと、それに連動していろんな投資家が群がって日経平均が上がることがたくさんあった。ということは、『売ります』となると『もう売らなきゃ』と“逆”が起きる可能性がある。では少額ずつ売っていくとか、何かしらの工夫は必要だが、間違いなく売りたいとは思っている。なので、あまりにも株価が暴落するようだったら『一旦やめます』という話になるかもしれないし、市場とのコミュニケーションはすごい難しい」
━━立憲民主党が「ETFを活用して高校授業料や給食費の無償化財源に」と主張している点はどうか?
「最初聞いた時にポカンとしちゃったところがあり、立憲民主党のサイトなどでどういうことか見てみると、一旦日本銀行が保有しているETFを政府が買って、それを売却したりとか、ETFから得られる配当金を高校無償化などのお金にしようという話。ただ、政府が買い取るということは、日銀が保有しているETFを今の高値で買い取る。しかも政府が売っていくという話になると、多分かなりの確率で株が一旦下がると思う。政府は含み損を抱えかねない。しかも、高校授業料とか給食費の無償化に使おうと言っても、リスク性が高い株式の配当をじゃんじゃん使っていいのかというのはあるので、あまり現実的なのかな、ちょっと違うんじゃないか。むしろ、税収が過去最高にまで今伸びてきているから、それをどう使うか話をされた方がより現実路線としてあると感じた」
(『ABEMAヒルズ』より)


