逮捕によって、NHKからは解雇された。「食べていかなければならないが、ハローワークで仕事を探しても、まずは今までの仕事を聞かれる。『NHKでアナウンサーをしていた』と言えば、事件がひも付いてしまい、なかなか採用に結びつかない。外に出るのがおっくうになり、うつになっていった」。東京赴任から1年弱だったため、周囲から気づかれる状況ではなかったものの、「どこかで“薬物事犯者”として見られるのではという怖さがあり、外に出られなくなった」と語る。
社会復帰をめぐっては、「人生が終わる」といった薬物犯罪の啓発ポスターの文言が、障壁になっているのではとの指摘もある。塚本さんの治療にも携わった、国立精神・神経医療研究センター 薬物依存研究部 部長で精神科医の松本俊彦氏は「悪いことだからしてはいけないという“未然予防”」と「被害者の応報感情に応える」、そして「間違ったことをした人が、もう一度社会で活躍する」という3つの意味があると説明する。
一方で、「3つ目が無視される」可能性を指摘する。「薬物の場合は、被害者がいないため、相対的に3つ目の役割は大きくなるはずだが、現状はそうなっていない。報道を含めて、法律以外の社会的な制裁により、孤立して居場所を失うのは深刻だ」。
■罪を償った後も続くバッシングの数々
