松本氏は、薬物報道のガイドライン作りにも参加した。「『人生をやり直そう』という意欲をなくしてしまうため、実際の刑罰以上の社会的制裁をあおるような行動を避けるべきだ」。加えて、実名報道による問題点にも触れる。「薬物事件は多くの場合、実名で報じられないが、著名人や教師、医師、弁護士、一流企業の社員だと、話題性から実名報道される。そうなると、ネット検索で名前が出てしまい、仕事が見つからなくなる」。

 さらには、「賃貸物件も駐車場も借りられず、レンタルオフィスや銀行の融資も契約できない。ハローワークには、前科がある人向けの窓口もあるが、そこで用意されている仕事では、これまでのスキルやキャリアを生かせない。別の文化に放り込まれて、やり直せる人の方が不思議だ」と語る。

■元犯罪者をいつまでも許さない世間
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