男性は中学卒業後に家を出て、農業研修、ゴム会社を経て、鉄鋼会社に70歳まで勤めた。9年前、父が104歳で亡くなる直前まで1人で暮らしていたのが、この家だ。最期、病院では、「亡くなる何日か前に、『お前もわしも難儀な人生やったな』と話をした」という。「眠るように息を引き取った。どうにか看取りは立ち会えたので、それだけはよかった」。
82歳になった今も、恩を返すように父が遺した家と畑を守る男性。今の楽しみは野菜を作ることで、収穫した野菜は子どもたちにも送っている。
この地は今後どうしていくのか。男性は「なるようにしかならん」と返すが、残したいという思いもある。「自然。誰も来ないし、自由気まま。一旦手放したらもう二度と手に入らないから。わしがいつまで保つか(笑)」。
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