「ゾンビ大学が延命してしまう」
さらに神庭氏は「淘汰されるべきゾンビ大学が延命してしまう」と指摘する。
「少子化が進み、本来なら淘汰が進むはずだった大学に間接的にお金を入れることで、ゾンビ大学が延命してしまう。大学、高校通しての話になるが、どうせ無償化するのであれば、工業高校・農業高校・水産学校や、介護・福祉・医療・看護・保育など人手不足の領域を重点的に無償化する方が社会全体の最適配置にもつながる。学業優秀だが経済的に進学が難しい生徒のためには、給付型の奨学金を充実させるとか、上位10%の大学に限って無償化するといった選択肢もあるだろう」
とはいえ、現状では大卒でなければ入社できない企業がある。この点について神庭氏は次のように述べた。
「それ自体が大きな問題。大学無償化の前にまずやるべきは、高卒差別をなくすことだ。高校を出てできる仕事はたくさんあるはずなのに、社会が一律で大卒資格を求めるがゆえに『行く必要ある?』というような大学に、とりあえず進学しておこう、みたいなことになっている。無償化すれば、そうした風潮がますます広がっていくのではないか」
「最近では、大学1年生のうちから内定を出す企業もある。だとしたら、大学に4年間通う意味って何なのか。高校生に内定を出したって何も問題ないはずだ。高校生が1人1社しか受けられない慣行もおかしい。高卒人材は『令和の金の卵』だ。高卒の人たちが生き生きと働けて、高待遇で正しく評価される社会を目指すべきで、『みんながみんな大学に行け』というのは歪んでいる」と述べた。
(『ABEMAヒルズ』より)

