■スカウトの実態「目の前で逮捕されたのを見たことがある」

元スカウトの「いじゅ」さん
拡大する

 元スカウトの「いじゅ」さんは、2014年から2017年にかけて、スカウトとして活動した。ナンパ・人脈づくりの延長線で開始し、会社に所属しながら路上で女性に声をかけ風俗店に紹介。合計50〜60人くらいを紹介したという。スカウトバック(紹介料)は、女性の売り上げから数%のほか、女性が1〜2カ月継続勤務で10万円〜などで、月収30万円以上(50万円もらえたことも)あったという。

 きっかけは「もともとナンパなどで、女性に声をかけていた。その延長線上で、当時はお金にも困っていたので、『手に入れば』と軽はずみな理由で始めた」という。

 罪の認識については、「もちろん法律に違反していたため、悪いことをしていた認識はある。同じ地域で複数のスカウトが声をかけているときに、目の前や少し離れたところで逮捕されたのを見たことがある」と振り返る。

 背後には暴力団や半グレがいたのだろうか。「スカウト会社の体をとっていたが、裏にそういう人がいるという話はチラホラ聞いた。幹部と言われる人たちしか、そこには接していない状況。なお、スカウト自体は深追いされず、消息不明で飛ぶ人もいた」。

 また、いじゅさんは、スカウト用のマニュアルがあったと明かす。黙秘の手伝いをしてもらうために、「私選弁護士の名前を言えるようにする」ことや、路上での声掛けはナンパの設定で始める(おとり捜査回避)こと、逮捕時に備えて、拘留期間に関する知識に加え、警察の揺さぶりやスマホロック解除への対処法も学んだ。

 逮捕リスクが高いため、「いきなり『夜のお店どうですか』のような声かけはせず、最初はナンパの設定で話す。万が一、逮捕時の拘束期間や、弁護士の名前を言えるようにするのがマニュアルの内容だった」と明かす。

 スカウト時代のいじゅさんにとって、“自分がやった一番悪いこと”は、「夜のお店で働くと決めても、どういう業態で働きたいかが、ハッキリしていない女性もいる。稼ぎたい額が大きければ、性風俗に行かないといけない状況もあり、結果的に悪い方へ流してしまったことがあるかもしれない」と語った。

■役割はマネージャー?スカウトを利用する女性「すごくありがたい存在」
この記事の写真をみる(4枚)