各国の核弾頭保有数を比較してみると、ロシアは5580。イギリスの225とフランスの290を足しても515で、ここにアメリカの5044を足して、ようやく帳尻が合う。つまり、ヨーロッパだけで足し上げても、数の上ではロシアに遠く及ばないことになる。それでも核の傘を広げることが、抑止につながるのか。
秋山氏「ヨーロッパ全土で、例えば500発の核が爆発したらどうなるかと考えると、たぶん『オーバーキル』、つまり破滅の状態になる。抑止というのはすごく心理的なゲームで、ある意味では信じるか、信じないか。あるいは相手が言っていることをどれくらい真に受けるのか、受けないのか。数字だけ見てもダメ。『抑止』というのは、能力があり、それを使う意図があり、これを相手が認識した時に初めて『抑止』になる。どれが欠けてもダメで、そういうコミュニケーションをロシアとイギリス、フランス、あるいはアメリカがやっていくことが大事。今、実際のところ、そういう習慣がないので、単に核を持ったから抑止が成り立つという話には、なかなかならない」。
■日本が核を持ったら抑止になるのか
