サイバー攻撃も同じで、なかなかそのインパクトが見えにくい。私も本当は、そういう兵器で抑止するのがいい気はするが。相手のコマンドアンドコントロールのシステムにサイバー攻撃できればいいなと思うが、逆に攻撃された側からすると、自分たちの核戦力が無力化されてしまうと困るので、『無力化される前に使ってしまおう』とか、あるいは使えなくなるのならば、思い切って大規模に反撃するしかないとか、報復を招く可能性もある。だとすると、核を使わないで攻撃したつもりが、核で報復を受けることになりかねない。
核兵器はないに越したことはなくて、我々はそのゴールを諦めてはいけない。ゆくゆくは、核兵器なんか使わなくてもいい、あるいは核の抑止に頼らなくてもいいような、国家間の関係を築いていく必要がある。ただ、日本と韓国がなんでこんなに核の議論が盛り上がったかといえば、中国が核戦力を増強した背景があるけれど、やはりロシアという近くにある核兵器国が、隣の非核兵器国に核の威嚇を用いながら攻め込んだことを目の当たりにしたからだ。そういう状況の中で、目の前にあるリスクや脅威にどう対処していくのかを考えるのも必要だ。将来目指していくゴールは忘れてはいけないけれど、それは今目の前にあるリスクに対処することが矛盾ではないし、逆にリスクに対処する抑止だけ強化しているだけだと、絶対に脅威のレベルも下がらない。どうやってお互いにその脅威を相互に避けていくのかだ」。
(『ABEMA Prime』より)

