第4局での直接対決は、両者ともに想定外の激突になったが、永瀬九段には秘策があった。後手番から開局すると、早々に角交換し、さらに飛車を2筋に展開する角交換型振り飛車(ダイレクト向かい飛車)を採用した。これには解説の小山直希四段(25)も「永瀬九段が注文をつけました。作戦家の永瀬九段だから決めていたんでしょう」と注目した。
永瀬九段といえば現在は居飛車党ながら、もともとは純粋な振り飛車党。いきなりほとんど指したことがないものを選んでいるわけでもなく、両者間の練習将棋では、何度も指しているかもしれない。ただし、公の場で永瀬九段が藤井竜王・名人に振り飛車で挑むことはめったに見られないだけに、ファンからは「これは研究してきたな」「振り飛車復活」「完全なる研究手順」と大盛り上がり。控室にいた関東B・郷田真隆九段(54)も「振り飛車はフィッシャー、めちゃくちゃいい。できると、すごく助かる」と作戦の採用を高く評価していた。
永瀬九段の秘策を見たからか、藤井竜王・名人は序盤でジャケットを脱いで臨戦態勢に。難しい中終盤を経由したが、じわじわとポイント差をつけていき、最後は快勝。さすがは七冠という力を見せつけていた。
◆ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治 全国を8ブロックに分けた「地域チーム」によって競う団体戦。試合は監督と出場登録棋士4人の計5人が参加。全員が1局ずつ指す「ステージ1」と、ステージ1で勝った棋士が負けるまで指し続ける「ステージ2」に分かれ、5人を先に倒した方が勝利チームとなる。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。大会は2つの予選リーグに4チームずつ分かれ、変則トーナメントで2勝すると本戦進出。ベスト4となる本戦は通常のトーナメント戦。
(ABEMA/将棋チャンネルより)




