学生はどのような“対策”をするべき?
ユニファの保育における取り組みについて、AI研究者の今井翔太氏は「研究者の知らないところでこういう活用が進んでいるんだ、と温かい気持ちになる。やはりAIの進化がすごく早く、人間の仕事を奪うんじゃないかという不安を持っている人がいる。研究者には当たりが強く、“怪文書みたいなもの”が届いたりする。今回の事例のように、普通に感謝される場所でAIが役に立っているのは非常に嬉しい」と称賛した。
2024年内閣府「AIで変わる労働市場」によるとAIによる「代替性」が高い職業として、コールセンター、オペレーター、ネイリスト、航空管制官などがあり、「補完性」がある仕事として医師、保育士、教員、聖職者などがあるという。
これに対し今井氏は「僕も同じことを言っている。代替性の高い職業は割と『やり直しがきく』仕事だ。AIがやらかしても『AIがやったので私は悪くない』というのは通用しないので、人間が全部責任を負う。だからもし失敗したらやり直しがきかないものや裁判にすぐなってしまうようなものは(AIには)難しい。責任を取るのが人間の最後の仕事だと言われている。『人類全員管理者』だ」と説明した。
さらに、「AIはホワイトカラーの仕事を奪う」と言われている。保育や介護などのケア労働の方が貴重な仕事になり、賃金が逆転するような現象も起きるのだろうか?
今井氏はこれに「日本ではないが海外で弁護士よりもエッセンシャルワーカーとケアワーカーの初任給の方が高いということが実際に起きていると聞く。人はホワイトカラーに集中するが『その仕事はAIでできる』となると、“逆転現象”は少なくとも中短期的に起きると思う。長期的に見ると『AIがなんでも』という可能性もなくはないが、少なくとも現時点ではホワイトカラーの仕事はめちゃくちゃAIがうまく、エッセンシャルワーカー、ケアワーカーの仕事はけっこう下手という状況なので、賃金逆転みたいなことは起きる」と説明した。
今の学生はどのような“対策”をするべきか?
「2つある。1つは専門知識。今までの義務教育と同じように、専門知識の基盤となる知識を身につける。『AIを使ったらなんでもできるから別に何も学ばなくていい』と言う人がいるが、スマホを持っている小学生は世界の知識全てを持ってるエキスパートかというと全然そんなことはない。どういうことを検索すればいいか知らないとうまく使いこなせないものだ。AIも同じで、そもそもちゃんと知識があって、今仕事をしている分野で何が重要なのか、何をAIに聞けばいいか、人間の方が知っておかないといけない」
「2つ目はAIの使い方をとにかく今のうちに極めておくことだ。なぜならこれからいろんな業務がAIを前提にしたものになる。そういう時期は元々業界にいた人より最初から新しい技術を使って突然やってきた人の方が強いことがけっこうある。例えば、Amazon創業者のジェフ・ベゾスは別に小売にも書籍販売にも詳しくなかったがインターネットという武器を使って乗り込んできて天下を取った。これと同じで、AIというものを使って新しい業務の仕方を開発してどこかの業界に行けば、もしかしたら既存の超エキスパートよりも圧倒的なパフォーマンスを発揮できるかもしれない。チャンスが転がってるのはまさに今だと思う。そんなことを意識して学生には頑張ってほしい」
(『ABEMAヒルズ』より)


