■ライバーに必要なことは「推しとの距離感」を決める覚悟?

小木曽健氏
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 ネットリテラシーに詳しい国際大学GLOCOM(グローコム)客員研究員の小木曽健氏は、「かつて深夜に女子高生から『助けてくれ』と連絡が来た」事例を語る。その女性は「同世代の女の子と、何カ月も『家に犬がいる』『近くにグラウンドがある』など、ネットでやりとりをしてきた。そして、さっき『星がきれいだから電気を消してみて』と言われ消してみると、『いま電気消したでしょ。家わかっちゃったから下りておいで』と言われた」そうだ。

 そして結局、「相手は女子高生でなく、男性サラリーマンだった」。このエピソードから、「距離感を保とうとしても、悪意を持って情報を取りに来る相手は、常に一枚上手だと意識した方がいい」とアドバイスする。

 経済学者の竹中平蔵氏は、「自分で距離感を決めなくてはならない」と指摘する。「芸能活動の一環であれば、顔をさらす必要もあるが、『これを食べた』と共感してもらいたいならば、それにあった距離感があっていい」。

 小木曽氏は「投げ銭に関するトラブルは、今回の事件に近いようなものも過去に起きているが、一般化して考えてはいけない」と考え、「一度投げ銭をしたからと言って、会いに行って殴る、警察沙汰になるなどは普通ではない」として、そうした人を基準に語ると、「これから始まろうとしている『組織ではなく個人が稼ぐ経済圏』」に影響が出ると懸念を示す。

■「投げ銭や配信は、あくまでおまけ」
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