すると事態は好転した。1つしか聞こえなかった心音が2つ聞こえるようになると、2カ月の入院を経て、子どもの成長と母親への負担を考慮しながら帝王切開。2人合わせて3722グラム、へその緒は1つの状態で無事に誕生した。

 長嶺さんは「生まれた瞬間は覚えていて、先生が『お母さん、生まれたよ!』と、すごくいい声で言ってくれた。『くっついていてもいいやと思った』。すごくかわいかったから、そんなことはどうでもよくなった」。その後詳しい検査をすると、双子が共有していたのは肝臓のみ。肝臓は再生能力が高く、切除してもほとんど元の大きさに戻るといわれているため、分離できる可能性も見えた。

 日本では分離手術に例も少なく、分からないことも多い中、生後2カ月で手術に踏み切り、無事に成功。「傷口が痛々しかったのと(2人が)涙がうっすら浮かんで泣いているのが見えてよく頑張ったなと。ただ、1人1人を抱っこさせてもらった時に、こんな軽かったんだと、その時しみじみ『ああ、分かれたんだな』と感じた」という。

 それから24年、現在の双子は元気に成長している。「記憶は全然ない。正直他人事という感じで…。こうやって1人ずつ元気なのは本当に奇跡に近い。ありがたいことだなと思う」。手術跡が少し残り、低身長ではあるものの特に大きな病気もなく、今は幼い頃からの夢だったモデルを目指している。「結合双生児が日本にいるよというのも、もっと広がってほしいし、ちょっと変わった生まれ方でも健康だし、普通な感じでやっていけるというのを低身長モデルとしてどんどん発信してきたい」。
(『ABEMA Prime』より)
 

20万分の1の確率 “結合双生児”とは?分離から約37年 ベトちゃんドクちゃんは今
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