それでも11ラウンドに突入。矢吹は右アッパーで集中力を欠き始めたアヤラをぐらつかせ、ボディと顔面に血まみれの連打を浴びせる。亀田が「もうアヤラは(血で前が)見えてない、危ないです」と警鐘を鳴らす中、アヤラは気力だけで前に出続けた。

 そして迎えた最終第12ラウンド。矢吹はセーフティーに試合をコントロールしつつ、残り1分半で右フックを振り抜き、三度ダウンを奪取。立ち上がったアヤラに会場からは「止めろ」「アヤラ立つのかよ」「出血やばいって」と悲鳴が飛ぶ。矢吹は血飛沫を上げながら最後のラッシュを仕掛け、左右のパンチが炸裂。ついにレフェリーがアヤラを抱きかかえるようにして試合を止め、12回TKOの劇的決着となった。

 ライトフライ級王座を保持したまま、フライ級王座も手にした矢吹に会場は大歓声。一方、敗れたアヤラにも観客から「根性があるな」「すごい死闘だった」「アヤラ頑張ったけど力尽きたか…」といった労いと称賛の声が多く寄せられた。SNS上でも、「こんな熱い流血戦は見たことない」「血まみれのKO劇に震えた」と絶賛のコメントが飛び交う一方、「ここまでやる必要あった?」と、過激さに戸惑う声も見られ、賛否が分かれる試合となった。

 こんな展開で、こんな結末になるというのも面白さではあるが…と話を振られた畑山氏は「そうですね」と苦笑しながら「序盤であれだけバッティングで切りましたのでね。どうなることかと。4ラウンド以内で終わっちゃうとドロー。最悪の結末だけはと…12ラウンドまでやれて、よかったですね」と両者無事に戦い抜いた結果での矢吹の戴冠にホッと胸をなでおろした。加えて亀田氏は「お互いこれからもボクシング人生あるんですけど、後遺症残らないといいですね」と案じた。

「井上(尚弥)チャンピオンみたいに強くないので、“一戦必勝”」
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