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【映像】「キリ番ゲット」で賞賛?SNSでパブコメがエンタメ化
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 政策を決める過程で、国民から幅広い意見を募集するパブリックコメント。その件数が従来と比べて極端に増加する事態が相次いでいる。

【映像】「キリ番ゲット」で賞賛?SNSでパブコメがエンタメ化

 環境省は、1月17日から30日間募集したパブリックコメントの数が20万件を超えたことを明らかにした。しかし、寄せられた意見の約96%が重複。句読点の位置や改行など一字一句、完全に一致していた投稿も多く含まれていた。

 同一内容のパブリックコメントが大量に届くといった事案が他の省庁でも相次いでいる。パブリックコメントの入力画面には「同一内容の意見が多数提出された場合であっても、その数が考慮の対象となる制度ではありません」という注意書きがあり、個人情報の入力は任意となっている。

 この事態を受け、行政管理研究センター・岡野裕元研究員は以下のように述べる。

「一部の者による大量投稿については、深刻な問題と考えている。大量投稿の意図は、単に自己の賛否表明だけでなく、プロセスの遅延行為も目的にしているのではないかと私は疑っている。内容確認や修正の検討を行政側が行うわけだが、行政の少ない人数で対応に当たる必要があるため、行政のリソースの無駄遣いだけでなく、職員の働き方改革とも逆行することになる。たとえ専門的に有意な意見が寄せられたとしても、物量と時間に負けて見過ごされかねない。一部の者による大量投稿の対策として、1案件につき1回の投稿だけといった、ルールづくりが早急に求められているのではないか」

 大量投稿ができてしまう現在の仕様について、第一生命経済研究所の主席研究員でAIやテクノロジーを専門に研究する柏村祐氏は以下のように指摘する。

「生成AIで『ここのコメント欄に文字を入力して投稿してください。10回繰り返してください』など指示すれば、自動的な投稿もできる時代になっている。bot的な自動投稿を防ぐためには、サイト側で人間の証明ができる仕組みを入れなければならない。例えば、『猫をクリックしてください』や、『横断歩道をクリックしてください』は今のところ有効。ただ、これを破ってくるようなAIも今どんどん出てきていて、イタチごっこという状況ではある。私が提案したいのは、エスクロー。これはメルカリやYahoo!オークションなどで使われているような、第三者機関が本人であるということを証明する仕組みだ。匿名性を担保しながら投稿できる」

エンタメ化するパブコメ投稿…
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