とはいえ、その赤いモビルスーツはバッチリ目立っていたし、そもそも第1話からクワトロの声が池田秀一なのだから、「クワトロ」と名乗っていても隠しきれるはずがなかった。劇中では8話にしてようやく彼がシャアであることが描かれ、13話ではシャアであることを否定した際、カミーユ・ビダン(CV:飛田展男)から「歯ぁ食いしばれ!そんな大人、修正してやる!」と殴られながら“修正”されてしまっていた。正体をバラす前にバレているという演出は、逆に清々しさすら感じられる。
「つい赤く塗ってしまう男」シャア・アズナブル。そんな彼のブレなさが詰まったアニメ「機動戦士Zガンダム」第1話は、これまでガンダムに関心がなかった人にこそ観てもらいたい導入の名場面だ。もし「機動戦士ガンダム」を観ていたなら、シャアとクワトロを見比べながら、彼の変化と変わらなさを感じてみてほしい。
アニメ「機動戦士Zガンダム」第1話で登場したこの赤い機体はある意味では“再会の合図”とも思える。「やっぱりお前、赤いのか」という懐かしさとともに、新たなガンダムの物語が動き出す。
アニメ「機動戦士Zガンダム」は1985年3月から1986年2月まで放送されたサンライズ制作のロボットアニメで、「機動戦士ガンダム」の一年戦争から7年後を描いた続編。「ガンプラ」ブームも生まれた。ガンダムシリーズや、スピンオフなどの派生作品も多数制作され、現在も高い人気を誇る。
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