アムロはシャアの攻撃をギリギリでかわしながら、挟み撃ちを仕掛けてきたザクを一撃粉砕。まさに「物理で殴った」結果だった。これを見たシャアが激昂し、「ナメるな!」と反撃に出たのも当然だろう。
結果的に戦闘はタイムオーバーで中断となったが、この一戦が残した印象は大きい。高度なビーム兵器が飛び交う中、あまりに古典的な武器がとてつもない破壊力を発揮したこと。エネルギーを必要としないがゆえに、弾切れや故障の心配がないという点で、状況次第では“最強”とも言える現実を突きつけた。ガンダムハンマーはそれを体現した武器だった。
アニメ「機動戦士ガンダム」は、実は極めて戦術的でロジカルな展開を見せる作品でもある。ビームが使えなければ殴ればいい。そんなシンプルかつ力強い解決を提示したのが、この第5話だった。そして何より、「それでいいです!」と即答してしまったアムロの心情は、武器の性能よりも「今この瞬間、何かしら手段を得なければ」という焦燥と覚悟の表れだった。選り好みできる余裕がない状況に直面したことのあるファンなら、「その気持ち、わかるかも」と思わず頷いてしまうかもしれない。
アニメ「機動戦士ガンダム」は1979年4月から1980年1月まで放送されたサンライズ制作のロボットアニメで、富野由悠季監督が手掛けた作品。“リアルロボットアニメ”という新ジャンルを開拓し、以後のロボットアニメに多大な影響を与えた。放送当時の視聴率は振るわなかったが、再放送や劇場版の公開で人気が急上昇すると、「ガンプラ」ブームも生まれた。以降のガンダムシリーズや、スピンオフなどの派生作品も多数制作され、現在も高い人気を誇る。
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