逃げ惑う民間人にも容赦なく流れ弾が襲い掛かり、フラウ・ボゥは一瞬で家族を失い、泣き崩れた。そんな彼女の姿を見て、アムロの中で何かが変わる。資料を手にしたままガンダムのコクピットに乗り込み、誰に命じられたわけでも、訓練を受けたわけでもないまま、彼は立ち上がる。そしてアムロは資料片手にガンダムを操縦し、ジーンのザクをビームサーベルで真っ二つに切り裂いた。“連邦の白い悪魔”が誕生した瞬間である。
もしジーンがあのとき命令を守っていれば、アムロはただの少年のまま人生を終えていたかもしれない。だが現実は、彼を戦場へと引きずり出し、やがて数々の伝説を生むエースへと育て上げた。そのきっかけを作ったのが、他ならぬジオン兵ジーンなのだから、なんとも皮肉な話だ。第1話は単なる物語の導入ではなく、“宇宙世紀”最大の分岐点だった。そんな視点で見てみれば、これまで観たことがなかった人も、かつて夢中になっていた人も第1話のドラマチックさに驚くはずだ。
アニメ「機動戦士ガンダム」は1979年4月から1980年1月まで放送されたサンライズ制作のロボットアニメで、富野由悠季監督が手掛けた作品。“リアルロボットアニメ”という新ジャンルを開拓し、以後のロボットアニメに多大な影響を与えた。放送当時の視聴率は振るわなかったが、再放送や劇場版の公開で人気が急上昇すると、「ガンプラ」ブームも生まれた。以降のガンダムシリーズや、スピンオフなどの派生作品も多数制作され、現在も高い人気を誇る。
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