シャアがこれまで搭乗してきた機体はシャア専用ザク、ズゴック、ゲルググなど、いずれも「ガンダム」とは対極の存在であり、自らの信念や美学を宿した“反連邦の象徴”だった。だからこそ、ガンダムに乗るという行為は、たとえ味方陣営の機体だろうと簡単には割り切れない思いがあったのだろう。
リック・ディアスも、後の愛機となる百式も、設計的には“ガンダム系”に近い高性能機だが、“ガンダム”の名は冠していない。彼がガンダムMk-IIに乗ったのは、この回ただ1度きりだ。敵として否定し続けてきた“ガンダム”に乗るという行為は、彼にとって大きな葛藤だったに違いない。
だが同時に、口では何も語らないが彼の言動の端々には“ガンダム”という機体に対して一目置いた感情がにじんでいるようにも見える。過去の敵を受け入れ、戦力として認めたという意味で、ひとつの“歩み寄り”だったとも言えるだろう。戦いの中でかつての敵の力を認めざるを得なくなったクワトロ(シャア)の複雑な表情は、ひときわ印象に残るシーンだ。
アニメ「機動戦士Zガンダム」は1985年3月から1986年2月まで放送されたサンライズ制作のロボットアニメで、「機動戦士ガンダム」の一年戦争から7年後を描いた続編。「ガンプラ」ブームも生まれた。ガンダムシリーズや、スピンオフなどの派生作品も多数制作され、現在も高い人気を誇る。
(C)創通・サンライズ
日本語
- 日本語
- English






