東レ滋賀のサーブで始まったシーンで、相手のスパイクを拾うと、セッター・田代佳奈美はライトへ配球。これをバックアタックでスパイクしたのがシルビア・チネロ・ヌワカロールだ。得点ランキングを独走するイタリア代表オポジットはコート左奥へ向かって強烈なボールを打ち込んだ。姫路の高卒ルーキー・秋本美空がこれにかろうじて反応したものの、鋭く変化するボールに対処しきれず、ボールは右腕を弾いてコート外へ。すると、このボールがラインズマンを直撃してしまったのだ。
線審は瞬時に避けようとしたものの、右腰辺りにヒット。しかし次の瞬間、痛がる様子を微塵も見せることなくビシッと姿勢を正すと、旗を胸前に持ってきて、ワンタッチを意味するジェスチャーへ。微動だにしない完璧な所作でジャッジを遂行した。
痛くないはずはないだろう。なぜなら、スパイクを決めたのは、リーグで総得点暫定トップを走るスコアラーであるヌワカロールだ。この日はバックアタック6点を含む25点を挙げ、翌6日も28点。179cm、25歳のオポジットが総得点で1019点を稼ぎ出し、2位に100点近くをつけている選手。アタックは933点、決定率45.6%を誇るスパイカーの一撃は痛烈だ。
それにも関わらず、職務を全うしたラインズマンは、まさに“プロ”の仕事ぶりだった。
(ABEMA de J SPORTS/SVリーグ)


