■「相対的に日本のチャンス」「関税はトランプではなくアメリカの国策」

エミン・ユルマズ氏
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 慶応大学大学院教授で経済学者の小幡績氏は、以前からトランプ政策が世界を破壊し、株価も暴落すると予測していた。「一番の問題は不確実性の高さだ。貿易赤字や“アメリカファースト”が理由だと思われているが、要は自分が世界を仕切りたい。支配している快楽に酔い、支持者から褒められたいという気持ちで一貫している」。

 しかしながら、「最近はそれが通用せず、面白くなくなっている」と、トランプ氏の心情を察する。「ウクライナ・ロシア問題も、うまく行かずに放り出す。『安易に支配したい』と、弱腰ですぐ譲歩する日本を呼びつける」としつつ、こうした動きは「予想通りだ」と説明する。

 株価の乱高下は、「投資家が楽観的に『トランプ氏は結局、ディールを行うビジネスマンだから、株価に悪いことはしない』との願望を株価に反映させた」ことによるものだとして、「心理が上下に動いた。投資家の動揺ぶりが現れ、不確実性の高まりとともに経済は悪くなっている」と話す。

 今後について、小幡氏は「世界はこのまま悪くなる」と見る。「相対的に日本のチャンスは来る。中国も、アメリカが沈めば、相対的に有利になるため、急に愛想がよくなった。ただ、アメリカが一気に沈み、中国も不動産崩壊が起きるなか、少し浮上してもつらいだろう」。

■日本にはむしろ恩恵?
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