エコノミストのエミン・ユルマズ氏は、トランプ関税が実施されたとしても、日本株爆上げのシナリオは変わらないと考えている。「トランプ氏は、アメリカに製造業を戻すうえで『所得税が悪だ』として、所得減税には関税を導入するしかないと考えている。『ディールしたい』のではなく、ただ財源が欲しいだけだ」。
また、「アメリカと中国の経済は、今後離れていく」とも見通し、「第1次トランプ政権で導入した関税を、バイデン政権は大体キープした。さらにバイデン氏はアメリカの国策として、半導体規制を強化し、中国の電気自動車やバッテリーに関税をかけた。トランプ氏は今回、対中だけでなく同盟国も敵視する姿勢をむき出しにしている点は異例だが、それ以外はアメリカの長期的戦略の一環だ」と分析する。
そして、この戦略によって「日本は恩恵を受ける」と語る。「中国の電気自動車は、アメリカでは売れない。もし中国BYD社の車がアメリカで売られると、一番シェアを失うのは、同価格帯で勝負する日本の自動車メーカーだ。日本は関税をかけられたが、最終的には追い風になるだろう」。
現状の政策は「トランプ政権の失敗だ」と評し、「第1次政権と違って、今回はトランプ氏に忠誠を誓う過激な支持者ばかりのため、EUや日本、カナダ、メキシコをないがしろにしている。トランプ氏の『中国企業の迂回(うかい)先をブロックしたい』という主張はわかるが、同盟国すべてと対立するのは失敗で、どこかで軌道修正してくるだろう」と考察する。
■トランプ氏により「アメリカの没落が早まった」と経済学者
