■食物アレルギーの症状

海老澤元宏氏
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 国立病院機構相機原病院臨床研究センター長の海老澤元宏氏は、食物アレルギーについて、「僕らの体の中には、IgE(免疫グロブリン)抗体という物質が作られる。それによって起きる現象の1つで、蕁麻疹や皮膚の症状が最も多いが、息苦しくなる、あるいは強烈な腹痛などのような症状が起こる」。

 代表的な食物アレルギーのタイプは3つあり、食事から2時間以内に蕁麻疹・痒みなどの皮膚症状や呼吸器症状などがみられる「即時型」。特定の食物摂取後の運動負荷によって、アナフィラキシーが誘発する「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」。 花粉にアレルギーを持った人が果物や野菜を食べ、口の中に痒みや刺激を感じる「花粉-食物アレルギー症候群」。

 海老澤氏によると、最近では「子どものときに発症して、大人まで続いてしまう方は、卵や牛乳でもいるし、花粉に関連してのアレルギーや、木の実類も多くなっている」という。「卵、牛乳、小麦は比較的治りやすいと言われていて、小学校に入るまでに大体7〜8割は自然に治る。ただ、ピーナッツや木の実類は、約1割しか自然には治らない」。

 けいたさんの症状については「スギやヒノキではなく、ハンノキ花粉があるのではないか」と推測。「リンゴ、梨、イチゴは全部バラ科だが、その果物とハンノキ花粉は形が似た物質がある。それによって、僕たちの体は70パーセントぐらい似た物質だと区別がつかなくなる。本当は花粉に反応するが、口の中に生の果物が入ってくると、体が誤作動してしまう」と解説した。

 さらに、「今、日本ではスギ花粉に対して反応する人は、若い世代だと40〜50パーセントぐらいになっている。昔に比べて、最近は国民の半分ぐらいがアレルギー体質状態。1度そういう体質が出てしまうと、世代から世代へ移っていく」と付け加えた。

■大人の食物アレルギーの課題
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