門脇は2023年の登竜門大会「Stand up King of Rookie」-57.5kg級の優勝者。一方の簗は、2024年の同大会を制した実力者で、フェザー級の注目若手対決となった。空手をベースとする門脇と、ボクシング経験を持つ簗という異なるバックボーンのぶつかり合いとなる。

 試合は開始早々、簗のコンパクトなパンチに対し、門脇が頭を寄せて圧をかけつつカーフキックを放つという、両者のスタイルが色濃く出る展開となった。

 中盤からは簗のペース。相手の変則的な動きにも慣れ、逆にプレッシャーをかけながらパンチをまとめていくと、左の一撃がヒット。効かされた門脇が後ろを向いて後退し、レフェリーがスタンディングダウンを宣告して割って入る。しかし、すぐに蘇生した門脇が、左フックを簗のアゴに“ガツン”と叩き込んだ。

 ダウン判定の直後にもかかわらず、レフェリーの背中越しに飛んできた不意打ちの左に、簗は尻もち。一度は「取ったど〜」と腕を振り上げてダウンをアピールした門脇は、「効いてない」とぴょんぴょんと跳ね回るも、当然ながらその一撃は無効とされ、自身がダウンカウントを取られる形となった。

 ダウン直後に被せるように放たれた奇妙な反撃に「逆に?」「(ダウンを)誤魔化した?」「今、何した?」「ダウン宣言してレフェリーが入ったのに攻撃って普通は減点だろ」とファンも騒然。試合再開後も両者の激しい打ち合いが続き、ラウンド終了10秒前には、門脇が右ハイキックからの連打でダウンを奪い返す。

 大味な展開に実況席も困惑気味。ABEMAの実況を務める小出アキラ・アナウンサーの「さっきのスタンディングのダメージが効いているかも」というコメントに、解説の一馬も「あのダメージはあります」と苦笑いを浮かべた。

 第2ラウンドに入ると、簗が再びペースを取り戻しかけたが、門脇の組み付きからのヒザ蹴りで試合が一時中断。簗のダメージの大きさから口頭注意が与えられ、警告へと格上げ。さらにブレイク後、ボディへのヒザ蹴りがローブロー気味に炸裂する。

 「ブレイクの間があった後の攻撃」として、運営からも厳しい口調で再度のペナルティが与えられ、門脇には“減点1”が宣告される。それでもまったく意に介さず、門脇はボディへのヒザ蹴りを連打。雄叫びを上げながら猛攻を仕掛けて圧倒する。ダメージの蓄積で後退し、防戦一方となった簗を見て、レフェリーが試合をストップ。門脇のTKO勝利が決まった。

 門脇の攻撃力と執念が際立った一方で、反則が続出したことに対し、ファンからは「門脇が与えたダメージがほぼ反則という…」「反則で積み重ねたダメージが」と厳しい声が上がった。一方で「こいつメンタル強そう」「ヤベー奴だけど強い」「完 全 勝 利」「ニューヒーローの誕生だ」など賛否両論の声も見られた。

 解説の一馬は「門脇選手は減点されてしまったんですけど、ハートが強いなと思ったのは、同じ戦い方を貫いたところ」と、反則後もブレずにヒザ攻撃を徹底した姿勢を評価。ゲスト解説の大﨑孔稀も「注意された後も同じ攻撃でダメージを与えてフィニッシュまで持っていったところはすごい。格闘家だな」と総括した。

 門脇の攻撃力と執念は光ったが、反則による減点は今後の課題。一方の簗は、序盤に積極性を見せたものの、徐々に門脇のペースに飲み込まれてしまった。

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