本来はレイ・ミステリオとの対戦が予定されていたが、彼の負傷によりフェニックスが代役で出場。試合はフェニックスが華麗な空中殺法で序盤を圧倒。高速キックやトペ・スイシーダで観客を沸かせた。対するEGAは「飛び技に加えレスリングも超一流」とされていながら、まさかの凶行に出る。
試合中盤、不利な流れを断ち切ろうと、EGAはレフェリーの目を盗んで金属のプレートのような物体を取り出し、マスクの中へと隠す。その一部始終は6万人の観衆の前だけでなく、テレビカメラにもバッチリ映されており、もはや反則は丸見え。ABEMAのWWE解説・堀江ガンツが「60年前にザ・デストロイヤーがやっていた反則ですよ…」と呆れれば、清野茂樹アナウンサーも「今どきやるのはこの人ぐらいです」と苦笑い。まさに古典芸の復活だった。
「昭和すぎるだろ」「プロレススーパースター列伝で見たやつだ」といった興奮気味のコメントが飛び交う中、トップロープに駆け上がったフェニックスが渾身のグッバイ・アミーゴ・キックを炸裂。しかし「パコッ」と鈍い音を立て、金属入りのマスクを蹴ってしまい、フェニックスは大悶絶。
足を引きずるフェニックスに、EGAはチャド・ゲイブルを彷彿させるアンクルロックを仕掛ける。一度は脱出に成功したものの、次のトペ攻撃の際、EGAの“鋼板入りヘッドバット”を食らってダウン。最後は「ダイビング・ヘッドバット(鋼鉄入り)」でEGAがピンフォール勝ちを収め、メキシコからの刺客を退けた。
この“絶滅した技”による勝利には、ファンの間でも賛否が噴出。「金具がぁああ」「こんな技あるの!?」と素直に驚く声の一方、「レフェリー、マスク調べろよ!」という真っ当なツッコミもちらほら。ただし批判的な声は少なく、大半は“古き良き反則”へのノスタルジーすら感じさせる空気だった。
特に多かったのが、「自分も痛いんじゃない?」という素朴な疑問。「EGA、頭硬すぎだろ(笑)」「やった方も痛そう(笑)」と、金属を額に仕込んで頭突きだけで勝利した石頭ぶりにリスペクトの声が続出。「鋼板ヘッドバット卑怯すぎる!でもEGA、逆に好きになった」といった声も多く、思わぬ形でファンのハートを鷲掴みにしたEGA。見事に“伝説のヒール芸”を現代に蘇らせた形となった。(ABEMA/WWE『レッスルマニア』)



